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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十六話 帰還
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帝国は主導権を握れるという事じゃろう。フェザーンを攻めるか、それとも国内の内乱の危機を片付けるか……。この場合は国内問題を片付けるのが先決じゃろう。しかし……。
「本来なら国内の問題を片付けるべきじゃろうの」
私の言葉にエーレンベルク、シュタインホフ両元帥が頷く。そしてエーレンベルク元帥が困ったような口調で言葉を繋いだ。
「問題はきっかけでしょう」
「きっかけか……」
「ヴァレンシュタインは年内と言っていましたが……」
沈黙が落ち私達はお互いに顔を見合わせた。エーレンベルク、シュタインホフ両元帥の顔にはこちらを探るような色がある。おそらく私も同様じゃろう。なんといっても陛下の御命に関わる事じゃ。むやみに触れる事ではない。
年内、ヴァレンシュタインは皇帝陛下の御命を年内一杯と予測した。しかし本当に陛下が亡くなられたとしてブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が内乱を起すじゃろうか?
ヴァレンシュタインは今回の反乱軍の討伐では随分と辣腕を振るいおった。多くの貴族たちが震え上がったはずじゃ。あるいは皇位など望まず大人しく引き下がるかもしれん。
第一、本当に陛下の御命は年内一杯なのじゃろうか? 最近の陛下は酒に溺れる事も無く以前からは想像もつかないほど健康じゃ。以前のような何処か荒んだような所はまるで無い。
長生きする可能性は高いのではないだろうか。いや、陛下には長生きして欲しいと私は思っておる。どうやら私は陛下が好きになり始めているらしい。困ったものじゃ。
もし長生きするとなれば、内乱が起きるのはかなり後になるが、その頃には反乱軍は今回の損害を回復している可能性もあるじゃろう。それもまた困ったものじゃ。
「年内というのは当たらぬかもしれんの」
私の言葉に両元帥が頷く。
「内乱が起きない可能性もあります」
エーレンベルク元帥の言葉からすると両元帥も私と同じことを考えているようじゃ。
「フェザーンを攻めるという手もありますが……」
「……」
シュタインホフ元帥が様子を伺うような口調でフェザーン攻略を提案してきた。エーレンベルク元帥は無言のままだ。どうやらフェザーン攻略には賛成ではないのだろう。
「フェザーン攻略か……。シュタインホフ元帥、フェザーン回廊を使った反乱軍勢力圏への侵攻作戦は出来上がったのかな?」
私の言葉にシュタインホフ元帥が力なく首を横に振る。
「残念ですが、航路情報も軍事上の観点から見た星域情報も不完全なままです。特に星域情報に関してはお粗末としか言いようがありません。この状態では侵攻作戦などとても無理です」
おそらくシュタインホフ元帥も内心では反対に違いない。ただ、何もしないよりは何とかこの好機を利用したい、そういう思いがフェザーン攻略になったのじゃろ
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