第五話 ロートリンゲン家その十一
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「この国で最も強い後ろ盾を得た方になります」
「マリーやマリアよりも」
「そうです」
「では」
「はい、そして」
それにというのだ。
「女王になることも」
「そのこともですね」
「可能です」
「そうですか、しかし」
マイラは婚礼の服のままだ、司教に言った。
「私の継承権は四位です」
「はい、そうですね」
「そしてです」
マイラはさらに言った。
「私は庶子、それでは」
「その様なことは関係ありません」
「そうなのですか」
「王はご病弱、そして大公も」
王位継承権の第一位であり実質的に国を動かしている彼もというのだ。
「どうもです」
「まさか。叔父上も」
「はい、これは知り合いの医師から聞いたのですが」
司教はマイラにこのことから話した。
「どうもお身体が」
「あまり、ですか」
「ご自身は気付いておられない様ですが」
それでもというのだ。
「お顔の色がやや悪くなりやつれておられるそうです」
「しかし」
「マイラ様の見られたところはですね」
「別に。ですが」
「そうですね、ですが」
司教はマイラにさらに話した。
「どうやら」
「お身体が」
「少しずつにしても病が忍び寄っておられます」
「そうなのですか」
「ですから」
「王、そして叔父上に何かあれば」
「その時は」
「ですが」
マイラは司教の囁く様な言葉にだ、眉を曇らせて返した。
「私の王位継承権は変わっていません」
「大公の次はですね」
「マリー、そしてマリアがいます」
この二人がというのだ。
「ですから」
「そうですね、普通に考えれば」
「普通に、ですか」
「確かにこの国は新教の国ですが」
信仰のことからだ、司教はマイラに話した。
「しかしです」
「私にはですね」
「ロートリンゲン家、即ち帝国と」
「法皇庁が味方をしてくれるのですね」
「お二人は確かにそれぞれ強い後ろ盾がおられます」
マリー、マリアにもだ。
「マリー様には既に何人かの有力な諸侯がついています」
「そうですね、あの娘には」
マイラは司教のその言葉には暗い顔になった。
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