第60話
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ルグの話を聞いたユウナは口元に笑みを浮かべて尋ねた。
「やはり自律的な状況判断と柔軟な行動選択に難アリだな。なかなかお前さんの”相棒”のようにはいかんさ。」
「ふふっ……でも、ユウナがここにいるのは博士も気づいているんでしょう?ユウナはともかく彼について何も言ってこないのかしら?」
「今のところはダンマリだな。どうやら新しい機体と”リベールの異変”の際に破壊された”箱舟”の代わりの開発に熱中しておるようだが………―――まあ、課題だった姿勢制御と関節部分の構造強化も完了した。あやつに余計な口を挟ませるスキは見せんさ。」
ユウナの疑問に対してヨルグは静かな表情で答えた。
「うふふ、ありがとう。これでやっと……最後の賭けが始められるわ。」
「………ふむ………」
複雑そうな表情で呟いたユウナの様子が気になったヨルグは重々しい様子を纏ってユウナを見つめていた。
「ふふっ、そんな顔をしないで。人形繰りを教えてくれたり偽物の人形さんを作ってくれたりこうして匿ってくれたり………おじいさんには感謝してるわ。」
「なに、大した事はしておらんさ。それよりも―――今日は忙しくなるのだろう?少々早めだが、午後のティータイムとしよう。」
「うふふ、そうね。」
ヨルグの提案にユウナは上品に笑いながら頷いた後ヨルグと共にある方向を見つめ
「”パテル=マテル”、一緒にお茶しましょう。今日は長い一日になるわ。たぶん、この自治州が始まっていちばん長い一日にね。」
見つめた方向にいる巨大人形―――”パテル=マテル”に意味ありげな笑みを浮かべて提案し
「―――――――――」
ユウナの提案に答えるかのように”パテル=マテル”は両目の部分を光らせた。
同日、15:00――――
〜遊撃士協会・クロスベル支部〜
「―――なるほど。そんな事になっていたとは。」
一方その頃ロイド達から事情を聞いたアリオスは重々しい様子を纏って頷いた。
「うーん、失踪者の噂についてはこちらも掴んではいたけど………今回は完全に出遅れちゃったわね。しかもよりにもよってあの教団が出て来るなんて………」
「…………………………………」
溜息を吐いて語ったミシェルの横でアリオスは何も語らず目を閉じて黙り込んでいた。
「………その、アリオスさんも6年前の教団事件には関わっていたんですよね?残党が残っている可能性はどのくらいあると思いますか?」
「………そうだな。確かに全てのロッジは制圧されたが地下に残党が潜った可能性はあり得る。犯罪組織などが手を貸せば潜伏は非常にやりやすくなるだろう。」
「まさに”ルバーチェ”なんか打ってつけの隠れ蓑だったわけか。」
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