魚心あれば水心
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「竜魔の・・・咆哮!!」
炎の咆哮を避けたマルド・ギール。しかし、彼の向かった先を見切り、シリルが水と風のブレスを放出する。
ヒョイッ
完全に裏をかいたはずの攻撃。それなのに、マルド・ギールは急ブレーキをかけ、寸前で軌道を修正してその魔法から逃れる。
「氷魔の・・・激昂!!」
先のシリルを見習い、同様の攻めを見せるグレイ。それでも、その魔法は敵を捉えることはできなかった。
「冥界樹!!」
グレイの氷のブレスの周囲を飛び回った後、左腕に呪力を溜め、地上にいる三人を押し潰すべく、巨大な樹木を打ち出す。
「うおおおおおおお!!」
「らあああああああ!!」
「はあああああああ!!」
向かってくる大樹。しかし、三人はそれから避けることなどしない。拳に魔力を纏わせていき、敵の攻撃に果敢に挑む。
「「「あああああああああ!!」」」
次から次へと繰り出されるパンチの応酬。やがてそれに耐えきれなくなった冥府の樹は、粉々に砕け散った。
「アイスメイク・・・戦神槍!!」
砕けた大樹の破片を凍り付かせるほどの魔力を溜め、巨大な槍で上空の悪魔を突き刺そうとするグレイ。マルド・ギールはそれを難なく回避したが、地上にいたはずの三人の人間のうち、二人がいなくなっていることに気付く。
「冷てぇ!!」
「寒かった!!」
「氷の中に!?」
割れた氷の槍の中から姿を現したのは、炎と水のドラゴンの子。二人は視線を交わすと、自身の両手を握り合わせ、大きく振り上げる。
「火竜の・・・」
「竜魔の・・・」
「煌炎!!」
「顎!!」
二頭の技がマルド・ギールの顔面を捉える。予想外の攻撃を繰り出された絶対の悪魔は、地上へと叩き付けられ、黒煙の中に埋もれる。
グレイの両脇に着地するシリルとナツ。三人は手応えを感じたらしく、煙の中にいる敵の姿を見ようとそちらに視線を向ける。
バサッ
突如聞こえてくる翼を広げる音。それとともに、立ち込めていた煙は晴れていき、その中から無傷の冥王が現れたのであった。
「まだ立ってられるのか・・・」
「こいつ・・・不死身かよ」
「俺の魔法が当たれば必ず・・・」
三人を相手に戦っているのにいまだに衰えを知らないマルド・ギール。しかし、グレイとシリルの持つ魔法を考えると、分があるのはこちらだと三人は考えていた。
「楽しませてもらった、人間の魔導士」
それなのに、マルド・ギールはあくまで平静さを見失っている様子はない。彼のその余裕な姿に、シリルたちはムッときている。
「その昔、一なる魔法により、魔法は誕生した」
「あ?」
突然語り出したマルド・ギール。それに対し、
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