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東方現創録
博麗神社編
第二話 飛翔りんご
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「つまり、余計なことしないでじっとしていれば大丈夫」

「動くな、と」

「少なくともあなたが何たる人物かわかるまではね」

今言われた通り、余計なことをしてはいけない、とはどういう意味か。一つにまとめて言うのならば、この世界...... 幻想郷(げんそうきょう)のルールみたいなものである。
簡単に説明すると、幻想郷は忘れられた物や人物が集まる世界であり、所謂妖怪だとか妖精だとかもいる世界なのだと。
これだけ聞いたらただのファンタジーでメルヘンな世界だが、何故にじっとしていなければいけないか。先ほど例に挙げた、妖怪や妖精だ。こいつらには凶暴な、危害を加えてくる輩がいる、怪我をするではすまないらしい。もちろん、全部が全部危害を加えてくるわけではない...... らしい。せめての救いであると考えよう。

ここまで説明して、今オレのお相手をしてくれている霊夢はどうなのかという疑問だが。これも本人が一緒に説明してくれた。
ずばり霊夢は人間である、妖怪でも妖精でもない。じゃあこの子も危ないのではないか、という質問だが、どうやらこの世界には能力と呼ばれる力があるみたいなのだ。
故に、オレが何たる人物か、というのはオレの能力は何たるかも指しているというわけだ。

話によると霊夢はその妖怪を退治する仕事をしていると本人から聞いたのだが、それもまたこの子が大丈夫な理由に繋がるのだろう。

「少なくとも、私が面倒見ていてあげるし、心配しなくて大丈夫よ」

「見てくれオレよりも幼いようだが......」

「今のところはあなたより強いはずだけど、不満?」

「いや... お、お願いします」

能力やら何やらももっと詳しく聞きたいところだが、一番気になるのは、この世は忘れられた人物が集まるということだ。彼女はもちろん、オレも忘れられたということになる。何から忘れられたかなんて知ったことではない、それこそオレは記憶をも忘れ去られたのだ。
況してや、この幻想郷では有名所と言われるらしい博麗(はくれい)神社で巫女を勤める彼女ですらオレの存在を知らないのだ。
オレはここの住人ではないのかもしれないとさえ考えてしまう。

一度思考を停止し、まだ食べ終えていないりんごを囓る。
それを見た霊夢が、

「りんごねぇ... あなたが食べてるの見てたら私も食べたくなったわ」

などとりんごの入った籠を手に、居間を後にした。
消えていった先から、りんごの皮を剥く音、そして切る音が聞こえ。奥が台所であることを察した。

台所から姿を現した霊夢は、りんごの乗った皿を手に、苦笑いをする。

「どうせまだ食べるでしょう? 少し多めに切っておいたわ」

皿を炬燵の上に置くと、和風のこの空間には似合わない洋風なフォークを使い、り
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