ターン51 冥府の姫と白き魂
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れだけ喋る元気があるのなら、それこそ医者に見せればよさそうなものだ。今ならまだ、助かるかもしれない。もちろん他の誰かが同じことを言いだしたのなら、彼女も問答無用で医者に担ぎ込んだだろう。だが、彼女にはそれができなかった。する気にならなかった、と言い換えてもいい。目の前の男は何か医学では計り知れないような部分で終わりを迎えようとしていて、そんな自分の運命を受け止め、今更それに抗うつもりもない。そんな常識で考えてはあり得ないような話が、理屈を超えて納得できたのだ。
「……構えて、ってさ。デュエルと洒落込みましょう、だって」
だからこそ、彼女はゆっくりとデュエルディスクを構える。消えた校舎と清明たちのことも、目の前の男のひどい怪我も、もはや彼女の眼には入らない。時間の止まったような特殊な世界で、そこにいるのはただ2人のデュエリスト、それだけだった。
「「……デュエル」」
「俺のターン。魔法カード、ドラゴン・目覚めの旋律を発動。手札1枚を捨てて、デッキから攻撃力3000以上かつ守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体までサーチする。俺が引き込むのはブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン、そして青眼の光龍のカードだ」
「ブルーアイズ……」
世界にもたった4枚しか存在しない伝説級のレアカード、青眼の白龍。それをためらいもなく使いこなすこの男の正体も、あのカードが本物なのかそれともカラーコピーのような代物なのかも、最後まで彼女には判別できない。ただわかっているのは今引きこんだその亜種ともいえる2枚が、得体のしれない力を持つカードだろうということだけだ。
「今捨てたモンスター、伝説の白石の効果発動。青眼の卵たるこのカードが墓地に送られたことで、デッキから青眼の白龍を1体サーチする」
流れるように無駄のない動きでのサーチ連打。3枚もの最上級モンスターを手札に抱え込みながらも、まだ先攻1ターン目ということもあってその全てを展開する気はないらしい。
「青き眼の乙女を攻撃表示で召喚。カードをセットして、ターンエンドだ」
青き眼の乙女 攻0
一見すると攻撃力0のか弱い女性型モンスター、青き眼の乙女。しかしその恐るべき効果……いささか受動的な面が目立つとはいえ、緩い条件で除外ゾーン以外のどこからでも青眼の白龍を呼び出す特殊能力をこれまでの対戦で知る夢想の表情は硬い。
「私のターン、だってさ。終末の騎士を召喚して、モンスター効果発動……その発動にチェーンして速攻魔法、手札断札を発動。そしてチェーン3以降にのみ発動できる速攻魔法、サモンチェーンを発動するってさ。これにより私はチェーン3のサモン
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