17話
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無くし、悲しそうに表情を崩して目を細める。身体が小刻みに震えて、唇が固く結ばれていた。そのことに罪悪感が溢れそうになった。
「……鈴にとって大切なことだったんだよな? 本当にごめんな、約束したことは覚えているんだ。だけどきっと、俺の覚えている内容と、鈴の望んでいる言葉は違うと思うんだ」
だから言えない。
千冬姉は言葉を吐きつくせ、って言っていたけど少しだけ違うような気がした。出してはいけない言葉も存在すると、俺はこの時漠然とそう思った。
「……そう。本気でぶん殴ってやろうかと思ったけどそんな顔を見せられたら、殴れないじゃない……」
俯いて泣きそうな声で鈴はそう呟いた。注意していなかったら、本気で聞こえなかったと思える程の小ささだった。表情は見えなかったけど、この時の鈴は泣いていたような気がする。
そしてそれを慰めることは出来ない。他ならない、俺が鈴を傷つけたのだから。
鈴の小さな肩に手を置こうとしたが、それは出来ずに力なく落ちた。
鬼一だったらなんて答えたんだろう。あいつなら上手くやれたんじゃないか?
勢いよく顔を上げる鈴。そこには先ほどまで存在したであろう悲しさなどは少しも無かった。記憶の中にある鈴の顔だ。今でも思い出せる。
―――顔は思い出せるのに、大切な約束は思い出せないのかよ。
呪うようにそう自嘲する。
「別にいいわよ。小学校から何年も経っているんだし、そんなことを気にしないわ」
俺から見ても鈴が強がっているのは明らかだった。でも、鈴は俺に対して気を使ってくれたのは間違いなかった。女の子との約束を忘れた馬鹿に、まだ優しくしてくれていることに苦しい。
嬉しそうな、悲しそうな顔で鈴は俺の目を見る。泣いていないのに泣いているように感じた。いや、泣いている。
「……やっぱり、アンタ変わったわね。昔、そんな顔を見せなかったのに。ううん、出来なかったのに」
鈴から見たら俺は変わったのだろうか。俺からすればその変化は良いものではないと言える。
―――こんな、目の前の女の子を泣かせているのに良いはずがない。そんな変化が許されるはずがない。
俺の表情を見て察したのか、鈴が苦笑する。俺の考えは間違っていると、それは間違いなく良いことなんだと、鈴は言う。
「……昔のアンタは人のことを考えているようで、考えていないところがあったわ。だけど、今は私のことを考えてそんな言いたくないことを言っている。自分が間違っていると分かっているから、これ以上傷つけたくないから、そんなお互いにとって痛い言葉を言えるのよ。
でも、それは間違いなんかじゃなく成長よ一夏。どんなに頑張っても人は人を傷つけることになるの、望む望まず関わらずにね。重要なのはその後を
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