17話
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上に寂しかったかもしれない」
後ろにいる箒に振り向いて『先に戻ってくれ』、と手だけでジェスチャーする。鈴との時間に誰かを踏み込ませたくない。これは俺たちだけの思い出があるからこそ、他の誰かを関わらせたくないからだ。
「……そ、そうなんだ」
鈴は嬉しそうに、だけどどこか恥ずかしそうに視線を逸らして右手で自身の髪の毛をクルクルと遊ぶ。なんか色々と言いたいことが在ったはずなのに、上手く言葉にできないのがすごくもどかしく感じる。
「鈴」
俺の声に髪の毛を弄ったまま、視線を一瞬だけ俺に戻す。
「ん? なになに?」
「元気だったか?」
弄っている手を止めて一瞬だけキョトン、とした表情に染まった。馬鹿か俺は。なんでこんな言葉しか出てこないんだろうか。もっと気の利いた、もしくは昔のような馬鹿みたいな言葉があっただろうに。
呆然とした鈴だったがすぐに笑いを堪えるような顔になる。くすり、と小さな笑いがその口元から溢れた。その笑いが鈴を異性だというのを強く実感させてくれる。
「一夏ったら、さっきと同じこと言ってるわよ。他にも色々と言うことがあるでしょうが」
分かってるんだ鈴。でも、今はなぜか上手く言葉に出来ないんだ。たくさん言おうと思っていたことがあるのに、なんでこんなときに限って。
「……ねぇ一夏? 約束覚えてる? ……覚えてる、よね?」
……約束? ……小学校の頃に確かしたような気がする。だけど、俺はそれを漠然としか覚えていない。いや、覚えているんだ。だけど、それを正しく覚えているかという自信がない。今、その約束の内容を口にしたらダメなような気がする。きっと、鈴を傷つける。
「……」
……きっと、鈴にとっては大切な約束なんだとなんとなく理解できた。鈴は顔を伏せて、上目遣いで俺の目を真剣だけど、どこか恥ずかしそうにしている。鈴にとっては聞きにくいことだけど、でも、重要なことだから聞いてきたんだろう。
なんて、答えればいいんだろう? 俺にとっては平凡な、どこにでもあるような約束だったんだろう。じゃなかったらこんな曖昧であるはずがない。強く覚えているはずなんだ。本来ならば。
俺はきっと鈴が望んでいる答えを返してあげることは出来ないんだ。自分が間違っているのに、正しい答えを返せるはずがない。
どっちにしても鈴を傷つけることになる。でも答えないといけない。今、ここで逃げてしまったら俺は。ならせめて、真剣に答えないと。
「―――ごめん、鈴」
覚えていなくて、本当にごめん。鈴にとって大切なことなのに。
そうやって謝ることしか出来なかった。大切だから曖昧な言葉で濁せない。濁したくない。
怒りに満ちた鈴の顔が見えた。が、それはすぐに姿を
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