17話
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られる。
「僕が言いたいのはそんなことじゃありません。何が間違っていて、何が正解なのか、そんなことは自分が死んだ後にでも考えましょうよ」
過去の行いに対して間違っているとか、正解とか、ひとまずはどうだっていい。正直な話、何が間違っていて何が正解なのか僕が知りたいくらいだ。教えてもらえるなら教えて欲しい。
「反省も後悔もいいでしょう。それは先輩の勝手です」
過去の行いを反省、過去の行いを後悔する。それは必要なことだ。自分が前を向いて現在を踏破する力に変えるために、正解だと『信じる力』に変換するための儀式とさえ言っていい。その力があるからこそ、自分が望む未来を目指せるのだから。
「ただ、ただ過去の自分を責めて、今の自分を否定することだけは止めてください」
「……え?」
だからこそ僕はこの人が自分を責めて、苦しめて、歩けなくなっているのが辛い。確かに怖いと思う。苦しい、辛い、怯えてしまうのも当然だろう。自分を許せないと思っても仕方のないことかもしれない。
それでも、僕は口にする。
「そうしたら未来の先輩は独りぼっちになっちゃいますよ? 例えばですが、妹さんと以前のような関係に戻りたい、もし少しでも心から願っていることがあるならそんな現在の自分を誇ってあげましょう。『私には胸を張ってしたいことがあるんだ!』って。
許してあげましょうよ。どんな結末であれ、過去の先輩はそれが正解なんだと信じて間違えながら、ぶつかりながら歩いてきたんでしょ? そこにあった感情や、痛みや苦しみは決して裏切りません。それは自分を追い詰めるものではなく、自分を支えるものなんです」
自分の言葉に熱が宿っていくことが分かる。力強く、ハッキリと先輩に伝えたいことを伝えていく。
「少なくとも先輩のしてきたことは間違いじゃないと僕は思っています。過去の先輩のおかげで僕は現在の先輩に助けられている、支えられているんですから」
そう言って言葉を切る。
呆けたような先輩の顔。
「……っぷ、あはははっ!」
苦しそうに歪んでいた眉と表情が緩んで、いつもの先輩の笑顔が戻ってくる。同時に先輩の顔を包んでいる両手を通して、先輩の身体から力が抜けていくのが分かった。
ただ、なんで笑われていることはちょっとよく分からない。
先輩の両手が僕の手の甲の上に重ねられた。ヒンヤリとした冷たさが薄い手袋越しに伝わってくる。僕の手よりも一回り小さな手。
白く柔らかい、滑らかな曲線をしている先輩の手に一瞬だけ傷が見えたような気がした。その一瞬だけ見えたそれは、この人の行いや罪を表しているようにも感じた。
「鬼一くんって、意外とロマンチストなんだね。初めて知ったわ」
「……なんですか人が真面目に
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