17話
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どうするか」
そう言って、俺の手を握る。小さくはあるが硬く強靭な意志を滲ませる手。それに比べて俺の手は大きいが、柔らかい。鈴のそれとは全然違う。たったこれだけのことでも、鈴は代表候補生になるためにどれだけの努力を積み重ねたのかが読み取れた。
「自分を追い詰めるんじゃないわよ一夏。反省も後悔も悪いものじゃないし、過去の自分には価値がないようで実は大きな価値があるんだからさ。
でも、今の自分を責めるのだけは止めなさい。それは何も生み出さないわ。それに私はアンタのそんな顔を見たくないから」
「……鈴」
鈴、俺はどう進んでいいか分からないんだ。自分が今まで考えもしなかった現実を現実に、俺は何をしたらいいのか全然分からない。俺は強くならなくちゃいけないのは確かなんだけど、でも、今やっていることが本当に正しいかすらも定かじゃないんだ。
そう考えている自分にも嫌気が差している。
「……こんな辛気臭い話は私たちには似合わないんだけどね。いいわ一夏、アンタがなんで変わったのか聞かせてよ。アンタの力になれると思うわ。ううん、力にさせなさい」
―――昔のアンタが私の力になってくれたように、さ。
鈴は口にしなかったけど、そう語りかけられたような気がする。
背伸びしているようにも見えたけど、鈴の姿は今までよりも大きく見えることに俺は恥ずかしいことに安堵していた。
自分の弱さを一瞬だけ忘れることが出来たからだ。
―――――――――
「……ふーん、一夏さんと鈴さんが一回戦からぶつかるのか」
翌日の放課後、僕は生徒玄関前の廊下に張り出されている張り紙を見てそう呟く。
考えながら向かう。今頃、一夏さんたちはトレーニングに励んでいることだろう。たっちゃん先輩に呼び出され色々と話していたら結構な時間になっていた。
さて、どうしたものか。公開されている範囲の鈴さんの情報や甲龍、鈴さんの専用機については調べていくつか対応策を考えているが、それを一夏さんが実行できるかどうかというのはまた別の問題だ。
僕にとって鈴さんは絶望的なまでに最悪の相性の相手だから極めて不利な戦いになるだろうけど、一夏さんなら零落白夜の事故を狙って起こすことで勝算は小さいけど一応ある。現実的なラインで戦えるとも思えた。
とはいえ、相手はIS競技人口を最多を誇る中国の代表候補生だ。しかも近接寄りのISでその座を勝ち得るほどの実力者である以上、近接戦に絡むスキルは間違いなく代表候補生の中でも指織りだ。真っ向勝負になれば一夏さんに勝ち目はまずない。
となると結局、最終的な答えはいつぞや教室で言った内容通りになるだろうな。打ち合いを避けて、騙し合い、化かし合い、零落白夜のプレッシャーを盾に試合を進めることにな
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