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覇王と修羅王
インターミドルに向けて
二十四話
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称《マスコットネーム》……ティオ」

 デバイス認証を終え、次いで細部調整する為にバリアジャケットを大人モードになりつつ装着する。
 その様子をボケっと見ていたアレクは変更されてる点に気が付いた。

「あれ? 前と髪型変わってね?」
「あぁ。デバイス……ティオはそっちの方がいいと思ったんじゃねーか?」
「へぇー」

 アレクはノーヴェの推測に相槌をうちながら、腕に巻き付いた龍型デバイスを見た。
 インテリジェントデバイスはその名の通り知能があり、人に近い思考能力がある。これから相棒となるデバイスも当然備わっているものだ。そしてこのデバイスはアインハルトが望んだものと同じ補助・制御型。これからの戦いで助けになろうとするだろう。
 だがアレクの本分は魔法格闘技でも魔法戦でもない覇気による闘法だ。どこまで補助できるのか全くの未知である。
 その思考を読んだのか、龍型デバイスは気付けば巻き付いていた腕を離れアレクと向かい合う形で浮いていた。自身の意思を主張するように。

「……アレク。アインハルトの方は終わったぞ」

 らしからぬ雰囲気を察っして控えめに伝えるノーヴェに、アレクは視線を変えず頷き、一度視界を閉じた。
 皆の視線を気にする事無く、再度思考の海に沈んでいく。

「お前の名称は……」

 真っ先に思い浮かぶは紅い修羅。己の先を往き、何かと意識するようになった王。国の支配者であり絶対者。
 そして荒々しい神如き化物の拳すら持つ。言い表すのならば修羅の神――――修羅神。
 だが人という器を脱することは無い。決して神ではない。なれはしない。
 そこで決まった。思い付いた。名は、愚かで傲慢な偽の神。

「お前の名称はアルコーン。愛称(マスコットネーム)はアル。……セットアップ」
「がぁ!」

 魔法陣が敷かれ、アレクの身体が段々と成長していく。その姿を、アインハルトは落ち着かぬ気持ちで眺めていた。
 今のアレクは、どことなくアレディ・ナアシュに近く感じる。姿は勿論、雰囲気さえも。記憶の中に居る彼の王は、拳を握らなければ穏やかな水面を思わすような人だった。
 また挑みたい。また何処まで通用するか確かめたい。出来るのなら今すぐ拳を交えたい。アレディ・ナアシュにも向ける気持ちが溢れ出てくる。
 同時に、アレク自身も将来はこんな落ち着きを持つのだろうか、とも。
 セットアップを終えたアレクは、合同訓練時と同じバンテージをした姿で、手をゆっくりと握ったり開いたりし始めている。おそらく違和感があるかどうかの確認を取っているのだろう。現に一度、人の居ない虚空に拳を放った。
 そして今は戻した握り拳に向け、静かに目を細めている。その姿から、目が離せない……

(なんでだろう……)

 何時までも見ていた
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