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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
エピローグ
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「罰ゲームなんかじゃないよ。ただ、私が知りたかっただけ。裏で誰かが動いているなんて、なんだか気持ち悪くて」

 多田くんは確かに照原くんと私の梯子役だった。けれど、彼は私の気持ちを慮って、あえて桐山くんをバーベキューに誘ったのだ。友達の成功ばかりを目指すのではなく、私のことも考えて。

 それはなんだか、ものすごく綱渡りな話なんじゃないか。確率の問題だ。

 「だから照原がフラれるのも薄々分かってた。だからバーベキューが最終決戦だった。そういうことの全てがバーベキューで決まると踏んでた。それなのに肝心の照原がバカしやがったからなあ。アイツはホントにバカ。コスミックバカ」

 「多田くんも大差ないじゃん」

 「はあ?俺の方が頭の作りが違うし。俺モンゴルだし」

 「モンゴル関係ないから」

 それにしても、私の態度は分かりやすいのだろうか。毎日を真面目に淡々と過ごしているつもりなのに、周りの人間はいとも簡単に私が気になっている人を当ててしまう。

 「三ツ橋はね、表には出さないけど目で分かる。冷静に周囲を見て判断してるのかもしれないけど、無意識に桐山に視線連発してる。そういうときの三ツ橋、すっげー可愛い」

 もはや殴りたい。恥ずかしいを通り越して物理的な何かを起こしてやりたい。

 「ていうか、私の心読まないでよ。いっそのこと心理学でも学べば?」

 「友達の先輩の妹が人の心読むのうまくてさあ、教えてもらったことあるんだよね。三ツ橋にも今度教えようか?」

 思わず「お願い」と言ってしまいそうになった。人の心の中を覗くなんてずるい気がするし、知りたくないことを知ってしまいそうだ。

 「私は真正面から行くタイプだから大丈夫」

 「三ツ橋って意外とグイグイ系だよな。ひとまず俺は応援に徹するわ。もうお節介なことには手ぇ出さない。つか、照原ともちゃんと喋れよ?」

 もちろんだ。気まずい気持ちはあるが、彼だって最初から私の様子には気づいていたはずだ。なにせ、友達の多田くんが気づいているんだから。だとすれば、それほど気負うことなんてない気がする。

 多田くんは溜め息を漏らした。

 「そういや、俺が三ツ橋のケツ触った後、めっちゃ照原にキレられたわー。お前ふざけんなとか言ってガチでキレてんの。俺マジで本気で謝ったわ。それでも1時間近くずっと説教みたいなもんダーダーダーダー喋りまくってさ。そのせいで頭痛が痛くなったんだよね」

 「あ、そういう理由だったんだ。ちなみに頭痛が痛いって言葉はないよ」

 「あっ、そうなの?」

 私は教室を見渡した。空虚な世界だ。こんなところでのんびりしているくらいなら、授業に出た方がマシだ。隣の教室のドアが開いているのか、英語リスニングのダンディな男性ボ
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