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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
エピローグ
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いいし、なくてもいいくらいに私は多田くんに用があるの」

 「うぇーい。それ俺の格言。使ってくれてんじゃん」

 「まあね」

 「で、俺に用って?授業サボってまで俺に会いたい理由は?まさか告白?んなわけねえか」

 顔をこちらに向けて、多田くんは私の目を見据えた。言葉は依然としてふざけているが、目は真面目だった。私はそれを確認してから、言葉を声に出した。

 「結局、多田くんは何がしたかったの?」

 多田くんはしばらく私を見つめていた。やがて顔を天井に向けると、彼はゆっくりと呟いた。

 「俺がしたかったことは最初に言った通りだよ。大学の入試で話す動機作り。そのために動いてたんだよ。ま、照原のせいでバーベキューはできなかったけどな。でもあのとき、一番最初に動いたのは三ツ橋だったよな。水がなくて他にも役立ちそうなものが見当たらない中で、機転を働かせて動けたのは三ツ橋だけだった。それは素ですごいと思ってるし、リスペクトしてる。ありがとな」

 「多田くんが教えてくれたことが実になったんだよ。こちらこそありがとう。でもね、まだ話はあるよ。……私、照原くんに好きだって言われたんだ」

 多田くんはまた顔を私の方に向けて、目を瞬かせた。

 「マジで?三ツ橋はなんて答えたの?」

 「『ごめんなさい』って断った。でも多田くんは分かってたでしょ?」

 「……なるほどな。照原から話は聞いているわけだ」

 多田くんは起き上がり、私と同じように机上に座った。脚をブラブラさせながら、窓の外に視線を移した。入り込んでくる陽射しに目を薄くする。

 「でも、俺は何も嘘を吐いていないよ。全てが都合よく動いたってだけなんだよ。俺の目的は大学入試の動機作り。照原は三ツ橋のことを想っているから、俺を使って近づこうとした。そして、近づいた俺の先にいた三ツ橋は自分の短所を変えようとした。最後に、それって俺の利益になるんじゃね?と思った俺がいた。たったそれだけの話だよ。ま、三ツ橋が不満に思うとこがあるとすれば、俺が誰よりも一歩、全体像を詳しく知っていたってことくらいじゃね?」

 「じゃあ、どうしてバーベキューに桐山くんを誘ったの?多田くんは友達の相談に乗ってるんだよね?」

 多田くんは苦笑して「それが残ってたか」と呟いた。

 「それに関しては完全に俺の主観だわ。三ツ橋の様子見て、何となく気づいたっつーか。で、俺が照原だけに加担して無理やりくっつかせるのは、なんか話が違うなって感じ」

 少しずつ話が見えてきた。私は目を逸らす多田くんの顔から目を離さなかった。

 「要は、私が気になってる人に気づいていたってことでしょ?」

 「……んまあ、そういうことになるんかな。なにこれ、どんな罰ゲームよ」

 
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