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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
エピローグ
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さ……」

 倫子は口を私の耳元まで持ってきて、面白そうに呟いた。

 「さっき桐山くんとメアド交換してたでしょ」

 「……まあね」

 私は淡々とバッグから弁当を取り出して、スカーフの結ばれた部分を解いた。倫子が隣席の桐山くんの椅子に座り、机にコンビニのパンをいくつか広げる。今日はメロンパンとカレーパン、それにコッペパンだ。彼女のマイブームは買い弁らしい。今ごろかよ、と思わずツッコみたくなる。

 「意外と自分から行くのねー三ツ橋さん。見直した。今度さ、また遊びに行こうよ。この間のメンツで。まあ、夏休みが限界かなって思うけど」

 「そうだねえ」

 それから私たちはいつも通りの他愛ない会話を繰り広げて昼休みを潰していった。5限目の英会話でリスニングに集中力を費やし、ようやく6限目が近づいてきた。

 休み時間の間に、男女共に体育館に行く準備を始める。それでも支度をしない私に、桐山くんが話しかけてきた。

 「今日は体育見学?」

 「まあ、そんなとこかな」

 「三ツ橋、運動できなそうだもんな」

 そう言って桐山くんはニヤリと笑った。からかわれた、と思ったときには彼の姿は教室から消えていた。からかわれたのに、何だろう。この妙にくすぐったくて温かい感覚は。心臓の音が私の耳にバンバンと届いている。

 「おーい。三ツ橋咲良さんや。そんなに乙女な顔してどうしたんだい?」

 体操着が入ったバッグを提げた倫子がおどけたように言って私の顔を覗き込んできた。私は「何でもない」と顔を背ける。

 「私、ちょっと具合悪いから保健室行くね。今日は体育休む」

 「へえ、咲良も具合悪くなるんだ。珍しい。分かった、先生に言っとくよ」

 「ありがと」

 倫子が教室から出て行ったことで、いま教室に残っているのは私だけとなった。授業をサボるという初めての体験は、正直に言って心地良いものではなかった。みんなが体育の授業に参加している中で私だけが教室で何もせずに怠惰な時間を過ごしているのだと考えると、落ち着かない気分になる。

 授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。それと同時に、後ろ側のドアがガラリと開いた。


 多田くんは、いつも通りの着崩した学ランだった。自分の机に座っている私を見て、彼は破顔した。

 「ついに三ツ橋も授業をサボるようになったかー。もしかして俺のことをサボり神として崇めてくれてる?」

 「誰が祀り立てるのよ、そんなだらしない神様」

 「それな」

 多田くんは手近な机をいくつか合体させて、その上に寝転がった。「昨日、夜までパーリーピーポーだったからさ」とかよく分からないことを呟きながらのびをしている。

 私は言った。

 「授業なんてどうでも
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