多田くんはありえない
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っくりと言葉を紡いだ。
「咲良は、強いね。それが私には羨ましくて、同じくらい愛おしい」
「それはどうも」
どうやら私の適当な相槌に気づいているらしい。さすが、私とずっと一緒にいるだけある。
私たちはしばらくの間、無言で歩き続けた。ペースは最初に決めた通り、目標到着時間3時間を達成するために亀レベルを維持している。
十字路のところで赤信号になり、私たちは足を止めた。そのとき、反対車線側の歩道に1台の自転車が停まった。乗っていたのは桐山くんだった。
「おーい、桐山くーん」
倫子が反対側にいる桐山くんに向かって手を振った。それに気づいた桐山くんが、信号を渡って私たちの方に向かってきた。私たちが目指している場所は同じなのだから、一緒に行くのはおかしくない。
そのとき、倫子がポツリと言った。
「ま、私たちの仲なんだからさ。何かあったら相談してよ。私はバリバリ咲良に頼るつもりだけどね」
そう言って振り返った倫子は屈託のない笑顔を浮かべていた。
倫子にはさすがに敵わない。私が彼女のことをいろいろと知っているのと同時に、彼女も私のことをよく知っている。
困ったら倫子にちゃんと相談しよう。私はそう胸に刻んで、青に切り替わった信号を横目に見た。
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