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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
多田くんは腹立たしい
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あるが……。とはいえ、ベースが身軽な作りなのでライブ会場では高機動モードに神経を切り替えるので本山由実ちゃんとは常にお近い状態!」

 「キメえな相変わらず。安心しろって。緩めにやるからさ」

 そして、雑巾が投げられた。

 常盤くんは二人が繰り出す魔球と化した雑巾に何度も当たった。しまいには頭に直撃した。これは傍目から見たらイジメに捉えられるのではないか。私は常盤くんの様子を見た。彼はニコニコと楽しそうに笑って「勘弁してくだされ!」と言った。相変わらずキモい。

 多田くんは腕時計に目をやって、「はい終了―」と言った。常盤くんが多田くんとポジションを入れ替えた。どうやらまだやるようだ。

 「言っとくけど俺、反射神経ハンパねえから。神様越えてっから。そういうわけで炭酸水よろしく」

 神が反射神経を行使する機会なんてないだろう。というか、炭酸水をご注文って個性的だな。あれ、味しないよ。私は掃除を続けながら思った。

 再び『反射神経ごっこ』が始まった。呆れて物も言えなかった。私は掃除ロッカーからちり取りを出して、ゴミを取るためにしゃがんだ。

 その瞬間、頭上を雑巾が通り過ぎた。と同時に、お尻にピチャッと音を立てて雑巾が当たった。

 私は中腰状態のまま硬直した。すぐ後ろにいたのか、多田くんが少しボリュームを落として背後から声をかけてきた。

 「……ちょっと失礼しまーす」

 言うが早いか、私のスカートにあった雑巾を取った。アウトもいいところだった。私は反射的にちり取りを平手打ちさながらに振った。

 「うおっっっと!?」

 すんでのところで多田くんが躱した。自慢する程度には反射神経が良いらしい。私は雑巾が当たった辺りに手をやった。スカートがもろに濡れている。

 「多田くん、どういうつもり?」

 「いや、悪気があったわけじゃないんだよ。マジでごめん。ジャージ持ってるから貸すよ」

 「それもそうだけど。でも、謝る前に触ったよね?」

 「だって雑巾臭ぇから、三ツ橋に取らせるのは申し訳ないっつーか」

 「臭いのは洗えば取れるでしょ。でも多田くん、軽く掴んだよね?」

 「……はい」

 その後は呆気なかった。私がとっとと終わりにしたかったのだ。もともと怒るのは好きじゃないし、多田くんたちも反省していたから許した。先生には何も報告しなかった。

 帰ろうとバッグを肩に提げたとき、珍しく照原くんが話しかけてきた。

 「三ツ橋、さっきはごめん」

 「別にいいよ。スカート濡れたくらいだし」

 「でも、多田にケツ触られたっしょ」

 「多田くんには私からさらにプレッシャーを与えるから」

 もし私がマニュアル人間から脱却できなかったら……多田くんに
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