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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
多田くんは怪しい
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前を挙げていった。女子が私を含めて4人で男子は多田くんを含めて5人。その中には照原くんや常盤くん、そして桐山くんの名前があった。それにしても、多田くんと照原くんの組み合わせは正直なところ嫌だった。

 一方で女子は完全に私の友人で固めていた。多田くんは私の知らないうちに彼女たちと親しくなっていたようだ。多田くんは人見知りしないし、嫌な奴ではないから基本的に誰からも受け入れられる。そこはちゃんと認めているつもりだ。不良には違いないけど。

 多田くんは通学バッグをデイパックのように背負って廊下の方に歩き出した。

 「じゃ、俺この後カラオケだから帰るわ。詳しくはメールするから」

 「ちょっと待ってよ。私、多田くんの連絡先知らないんだけど」

 「リンちゃんが知ってるから教えてもらってー」

 リンちゃんとは私の友人である西尾倫子のことだ。私がもう一言伝えようと思ったときには、多田くんはすでに教室から姿を消していた。勝手なのかマイペースなのか、よく分からない。いや、たぶん勝手なんだろう。面倒なので走って追うことはしなかった。

 教室には私を除いて誰もいない。私は、ちらりと隣の席に目を向けた。机の表面に計算式の跡や刃物で削ったと思しき雑な文字の列が残っている。

 多田くんは私のことを分かっていて桐山くんを呼んだのだろうか。多田くんは明けっ広げな性格なのに真意を掴ませない。それが不気味であり、苛立たしくもあった。

 考えても仕方ない。私は溜め息を吐いて、バッグを片手に教室を出た。
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