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俺の四畳半が最近安らげない件
立てこもり犯に告ぐ
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が。
『え、また追加情報……こ、これ読むのか!?てかこれ本当!?』
メガホン持った刑事の周辺が、軽くパニック状態になっている。…何なんだ、今度の追加情報は!
『これ、結構重大なプライバシー…いや、仕方ない!毒を食らわば皿までだ!』
なんだよ、まだ隠し玉があるのかよ!!
『お前が小脇に抱えているその男性……日系アメリカ人だ』
な、なんだ脅かしやがって。国籍とかどうでもいいわ。



『……元、グリーンベレー所属のな』



奴の荒い呼吸が、不気味に静まった。
『一応補足すると、アメリカ陸軍特殊部隊の通称だ。陸軍の歩兵200人に相当する戦力を、グリーンベレーの隊員一人が保有する、と云われている。知ってるか』
知るかそんなん!!…ていうか、俺の脇下に、200人の歩兵に相当する戦力が…?嫌な汗が脇を伝う。なんでそんな歴戦の猛者が、俺みたいな素人に大人しく捕まってるんだ…まさか…こいつ…!
『…先ほどの情報に、割と重要な訂正事項がある』
……今度は何だよ!!!
『彼のパートナーのブログから抜粋して手短に読み上げる。先程、好みのシチュエーションは囚われの身と云ったが訂正だ。……囚われの身からの、逆レイプだ』


―――やっぱりねー!!!!



『…知っているか、男から男への強姦罪は成立しないらしいぞ。これでも無駄な抵抗をその部屋で続けるのか!最後の警告だ。逃げるなら今のうちだぞ!!』
「け、刑事さん、俺…俺!!」
『分かってくれたか!今なら間に合う、希望を捨てるな、俺たちを信じろ!!…突入、するか!?』
「た…助け」



―――刃物を持っている方の手を、生暖かい掌が包み込んだ。



恐る恐る、脇の下の男を見下ろすと…奴の血走った視線は完全に俺をロックオンしていた…
「う…う…うわぁぁあああああああああ!!!!」
『と、突入だ、突入―――!!犯人の貞操を守れ!!!』



小一時間後、自衛隊の一個師団を投入してようやく突入成功した刑事の一行が、泣きじゃくる犯人を毛布で包み、両側から支えるようにして四畳半から出てきた。このあまりに悲惨な末路を迎えた強盗未遂事件は、何らかの思いやりによって、大きく報道されることはなかった。


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