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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
多田くんは面倒くさい
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 多田くんの爽やかな笑顔に、私はストレートな言葉を刺してやった。

 「もはや学校こなくていいよね。なくてもいいなんていう人に会ったのは初めてだよ」

 「うぇーい、三ツ橋の初めていただきましたー」

 しかし言葉のナイフは多田くんの顔を傷つけることなく通過していった。むしろ、多田くんの反応に私がイラッとしてしまった。

 気づくと教室には私たち以外に誰も残っていなかった。とっとと話を終わらせなければならない。私はバッグを持って多田くんに手を振った。

 「じゃあ私、用事があるから行くね。また明日」

 「まあまあ、そう焦らさんな」

 「まだ質問?」

 「いや、提案」

 提案とはなんだ。私は思わず多田くんを見た。彼は目が合うとニヤリと笑った。窓越しに聞こえてくるソフトボール部の掛け声と放課後の暖かい陽射しが教室の空気に色となって混じる。彼氏募集中の友人なら、これを青春色と言うかもしれない。彼女は乙女なのだ。はっきり言ってバカだ。そんな色は本来ない。自分から作ろうと思わなければ、そういう色は生まれないのだ。そして、私は今、その色を作る気はない。

 私は言った。

 「なんの提案なの?」

 「三ツ橋のマニュアル人間をなくす提案」

 「私にとっては魅力的だけど、それって多田くんの利益ないよ。どういうつもり?」

 「そういうお堅い話しちゃう?まあ、俺の得といえば、経験かな。経験が物を言うってよくあるっしょ。俺が三ツ橋の短所をなくせたら、それが結果として将来の夢的なやつのきっかけにも繋がるかもしれないし」

 多田くんこそ、なかなか堅い話をしていると思う。というか真面目だ。マックの店員というのは、きっとその場しのぎで言う口癖みたいなものだろう。彼は今まさに何かしたいことを探しているのだ。さしあたり教師だろうか。

 それにしても、素朴な質問がいつの間にか私の欠点改善の話に変わるとは思っていなかった。多田くんは何を考えているのだろう。いくら私でも、多田くんが建て前を言っているだけなのは分かる。本音は別のところにあるはずだ。

 多田くんは私の疑念に気づいていないのか、ヘラヘラ笑いながら口を開いた。

 「俺もさ、そろそろ大学受験を考えなきゃいけないわけよ。でも勉強はしたくない。そこで俺はAO入試という手段を利用したいんだよ」

 「あ、大学には行くつもりなんだ。AOは一般受験よりも早いから頑張って」

 「そこで三ツ橋の出番だよ」

 私を受験に連れていくつもりなのか。私は思わずたじろいだ。多田くんが「勘違いしてんだろ」と笑った。

 「AO入試って勉強じゃなくて意欲とか熱意とかを学校にアピールするやつじゃん?その辺はどうにか取り繕うから良いけど、前提として動機ってもの
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