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授業なんてどうでもいい、なくてもいい
多田くんは意外と鋭い
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ごめん!でも大丈夫、三ツ橋は真面目キャラとは裏腹にわりと可愛い方だから」

 結局のところ、多田くんは何が言いたいのだろう。単に私をからかっているようにしか感じられない。彼に話しかけた私がいけなかった。

 でも、多田くんの私への評価は意外と的を射ているところまで来ているのも事実なのだ。今まで、私は『あの言葉』で括られることが何度かあった。多田くんが言った。「で、何が言いたいのかというと」きっと、恐らく、たぶん――

 「「マニュアル人間」」

 私と多田くんの声が見事に合わさった。私は予想が的中したことを少し自慢げに感じたと同時に、自分の短所を心中で嘆いた。当たってしまった。当てられてしまった。これまで大して関わりもなく、会話し始めたのが最近の多田くんに。

 「おお、はもったな。なんか気持ちいいわ」

 多田くんが嬉しそうに私に言った。勝手に気持ちよくなってろ。なんで自分の欠点の話で嬉しくならなくちゃいけないんだ。

 マニュアル人間。ものすごく簡単に捉えるなら、言われたことしかできない人間のことだ。近年の若者にはマニュアル人間が多いと言われている。実際、私もその一人だ。自覚はしているつもりだ。

 小学生のころから、真面目に生活していた。黒板に書かれた内容をちゃんと板書して、指示された通りのことをしっかりこなした。あまり好きではなかった授業中の挙手も、通知表のためには必要だという教師の言葉で仕方なくやった。だからだろうか、自ら動くという意識が他の意識と違って成長しなかったのは。

 家庭科の調理実習、林間学校、グループ活動、修学旅行の下調べ学習、文化祭の準備……。特に団体行動において、マニュアル人間の特徴は明確に浮かび上がる。最初は自分のことをそうは思っていなかったが、中学時代に所属していた吹奏楽部の先輩に指摘されてからマニュアル人間を意識するようになった。確かに、私は誰かに言われなければ動けなかったと改めて実感してしまったのだ。

 今でもその性質は変わっていない。最近でマニュアル人間の自分が顔を出したのは、先月の卒業式だ。

 じゃんけんで負けて卒業式の実行委員になってしまった私は、式場準備や代表者が読むスピーチ作成などで他人の指示を仰いで動いていた。自分から何かを口にすることはなかった。もちろん立場の問題も考えられる。しかし、言葉にせずとも流れを掴んで行動できる仕事もあったのだ。

 「おーい、マイセルフワールドにステイしないでくれよ。ユーとスピークしてるのはこのミーだよ」

 多田くんの滑稽な言葉で私は我に返った。というか、どうしてルー大柴のネタなんだろう。センスが古いような気がする。

 そんな私の胸中を知らない多田くんは、すでに箒を掃除ロッカーに入れていた。ちなみに、私が持っていたはず
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