第十話 再開を祝して
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した。とても涼やかな笑顔だった。
「ありがとう・・・・。」
胸の内は晴れなかったが、今それを吐露してしまうと気遣ってくれている妹に悪い。紀伊はそう思って、それ以上この話題を上らせるのを避けた。
「じゃあ・・・・あなたのことも妹たちのことも話してくれる?」
「喜んで!!ええっと――。」
「まずはあなたの話から聞かせてもらえる?」
「はい。私は――。」
讃岐が語ったところによると、彼女もまた横須賀鎮守府で生まれ、横須賀鎮守府で就役したが、姉たちとは違い空母の色が強かった。そのため主砲も35,6センチ砲にとどまったが、艦載機運用数とその稼働能力は姉たちよりも勝る。讃岐もまたしばらく軍令部の特務艦としてしばらく姉たちと一緒に過ごした後、迎えに来た川内以下の水雷戦隊に護衛されて佐世保鎮守府に着任したのだった。
「でも、とても寂しかったです。姉様たちと一緒に着任するものだと思っていましたから。」
讃岐の声が少し沈んだ。
「でも、姉様も一人ぼっちだったのですね。本当にごめんなさい。」
「あなたが謝ることじゃないわ。」
紀伊は微笑んだのをみた讃岐の顔がぱあっと高揚した。
「姉様、笑顔が素敵――!!あ、ごめんなさい。そんなわけで私も佐世保鎮守府で第11艦隊に所属することになりました。そこでいろいろ教えてもらって。航空機の扱いは瑞鳳さんや祥鳳さんのお世話になったんです。砲撃も扶桑さんや山城さんに教えてもらいました。皆さんとても優しくしてくださいました。」
私と一緒だったんだな、と紀伊はしみじみと思った。妹は妹でいい先輩や仲間に恵まれていたようだ。そのことが紀伊にはとてもうれしかった。一通り讃岐の話が終わったころ、紀伊は別の妹たちの話に水を向けた。
「あなたの姉たちのことだけれど・・・・・。」
「あぁ!近江姉様と尾張姉様のことですか?」
紀伊はおやっと思った。讃岐は近江の名前を親しげに呼んだが、尾張の名前をやや冷たそうに呼んだからだ。
「近江姉様は私たち姉妹の3番艦です。そうですね〜〜。なんていうか大和撫子で、とても優しいお姉様でした。今は舞鶴鎮守府にいらっしゃいます。短い間でしたけれど、私が寂しがっているとよく構ってくれましたし、話し相手にもなってもらいました。あ、もちろん紀伊姉様にはかないません!!」
私のことなんかいいから詳しく教えて、と紀伊は微笑みながら言った。
「近江姉様は長い黒髪に一筋の銀髪が入ってます。私の服の赤バージョンに緑のスカーフで、黒のスカート。艤装はたぶん姉様と一緒です。」
紀伊はなんとなくだがまだ見ぬ妹の姿を思い描くことができた。
「それで、尾張の方は?」
「尾張姉様ですか・・・?」
讃岐はとたんに頬を膨らませた。
「私、嫌いです!!」
「えっ!?」
聞き違えたのかと思ったが、讃岐は嫌い嫌い大っ嫌いを
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