三つの楔
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塵も彼には通じていなかった。
「フンッ」
「がはっ!!」
地面を強く踏み込み、グラシアンの腹部に拳を押し込むジエンマ。あまりの速度にグラシアンは反応できず、空中へと打ち上げられる。
スゥ
グラシアンを打ち上げたジエンマ。その後ろに、影となり身を潜めていたローグが現れる。
「フッ!!」
「ぐっ!!」
完全に死角から迫り、不意をつけるはずだったローグ。それなのに、ジエンマは即座に振り返ると、ローグの腹を殴り軽く宙にあげ、その反動を利用し地面に強く叩きつけた。
「うぬらごとき小童が、剣咬の虎を乗っ取った気でいるのか?」
地面に伏すローグを見下ろしながらジエンマがそう言う。その言葉を受け、ローグは手をつきゆっくりと立ち上がる。
「俺たちは・・・剣咬の虎を取り戻した・・・ギルドの・・・あるべき形に」
「笑わせるでないわ!!」
「っ!!」
フラフラのローグの頭部に拳を入れる。ローグはなんとかそれに耐えたが、かなりのダメージを受けたのは間違いない。
「剣咬の虎のあるべき姿とは、最強であること!!それをうぬらの弱さが、台無しにした!!」
周囲が驚くほどの速度で成長を遂げた剣咬の虎。ジエンマはそれを自らの力でやったという自負があるため、最強の座から落ちた彼らに腹をたてているのだった。
「その通りだ・・・俺たちは弱かった・・・」
「だが、その弱さは、あんたのいう弱さじゃない」
「何?」
なんとか立ち上がったグラシアンとスティング。彼らが何を言いたいのか、ジエンマは理解できずに彼らの方を向く。
「仲間を、仲間と思えない弱さ」
「それが・・・俺たちの弱味だ」
ジエンマの支配により、ギルドに汚点をつけた魔導士を切り捨ててきた彼ら。今思えばそれは、非道な行為だったと彼らは思い、考えを改めている。
「俺たちはもう・・・そんなギルドはごめんなんだ」
「勝利することだけじゃない・・・」
「真の意味で強いギルドにするために・・・俺たちは、0から歩き出したんだ」
三人にはずっと、大切な相棒がいた。そして、その相棒たちと同じように仲間を大切に思うギルドを見た。彼らはその強さに惹かれ、自分たちもそうなりたいと願ったのだ。
「だから・・・あんたはもう・・・」
「俺たちの前から・・・」
「消えてくれ!!」
過去の己の過ちから逃れるために、その原因となったものを倒す。昔の自分と決別するために、三人は最大の脅威へと立ち向かう。
「「「はああああああっ!!」」」
放たれた三人の拳、しかしそれは、ジエンマが魔力を放出したことで簡単に防がれてしまった。
「フハハハハハ
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