16話
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それを見つけて、その時の自分に実現出来るラインに落とし込めるかどうか、その一点につきる。故に、勝負に絶対など存在しない。
鈴さんは何か言葉を発しかけるが自重したようだった。これ以上口を開けば、僕の言葉を肯定しかねないからだろう。
とはいえ、僕も言い過ぎなのは自覚している。絶対、という部分だけ理解してもらえれば特に文句もない。初心者なのは自覚しているし。そして、代表候補生になるのがどれだけ困難なことか、セシリアさんと話していれば嫌でも理解する。代表候補生を馬鹿にするのはともかくとして、セシリアさんを馬鹿にしたくない。
「言い過ぎでしたね。……鈴さん、申し訳ありませんでした。代表候補生というポジションを甘く見ているつもりはありません」
「……ううん、あたしも言い過ぎだったわ。確かに戦ってもいないのに、アンタたちを馬鹿にするのはフェアじゃないわね」
僕の突然の謝罪に面食らった鈴さんだったが、頭が冷えたのか同じように頭を下げてから席に座る。空気が弛緩したのを見たクラスメイトたちも安堵のため息をついている。冷や汗をかいたのか、一夏さんは額を制服の袖で拭っていた。
落ち着いたのを見て、僕は食事を再開する。一夏さんは気を取り直すように鈴さんに話しかけた。
「な、なぁ鈴。親父さん、元気にしているか? まあ、あの人が病気にかかるところなんて想像できないけど」
「あ……。うん、元気―――だと、思う」
一夏さんの質問に歯切れ悪く答える鈴さんの表情は明るくなかった。……あんまり、家族関係が良くないのか、それとも純粋に触れられたくない事柄なのかは分からなかった。
「ねぇ一夏。それよりさ、今日の放課後って時間ある? あるよね。久しぶりだし、どこか行こうよ。ほら、駅前のファミレスとかさ」
「確かあそこ去年潰れたな。あと、鈴。転入してきたばっかで分からないと思うけど、IS学園から外に出るときは寮長、千冬姉に外出届け出さないといけないんだ」
「そう……なんだ。じゃ、じゃあさ、学食でもいいからさ、積もる話もあるでしょ?」
その言葉に一夏さんは僕に視線を投げかけてくる。困った目線。トレーニングしなければならないという思いと、旧友と話したいと思いが見え隠れしていた。
……確か、今日は一夏さんのトレーニング日だったな。さて、どうしたものか。個人的には今日はお休みにして、ゆっくり昔話を楽しんでもらいたいけど……。せっかくの再開なんだし、一夏さんにとっても気の知れた相手がIS学園に来たことはいいことだろう。たまには息抜きしてもいいと思う。
セシリアさんに視線を向けると同じことを考えていたのか、頷きだけを返してくれた。……僕の判断に任せるってことか。
「―――あいにくだが、一夏は私たちとISの特訓を
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