16話
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。一瞬、セシリアと視線が合うが2人で小さく笑みを零す。
僕ら2人の声に一夏さんは納得できないと言わんばかりに声を上げた。
「鬼一っ、セシリアもいいのかよそれで」
「いいもくそも、意味のない発言に食い下がってもなんの価値もないじゃないですか。こんな下らない話、受け流すが吉、ですよ」
僕はそう言って残りのステーキを口に放り込む。制服の内ポケットからハンカチを取り出し、口についた脂を拭き取った。
僕の言ったことがよく分からなかったのか、一夏さんは口を開けてポカンとした表情になった。鈴さんは自分の話を下らない、と断じられて口角が釣り上がる。煽られるのが嫌なら煽らなければいいのに。
「どういうことよ鬼一? あたしの話に意味がないって」
「意味なんてあるはずもないでしょう。そもそも、僕らが一夏さんを教えているのは織斑先生の指示なんですから。僕たちの判断や貴方の判断で簡単に変われるはずもない。もし、鈴さんが教えたいということでしたら織斑先生にまでどうぞ」
鈴さんの中で怒りが膨れ上がったのは容易に感じ取れたが、『織斑先生』の単語で一瞬で萎む。むしろ嫌そうな顔で、小さくではあるが舌打ちすらも漏らした。
まあ、正直僕にとってそれはこの際どうでもいい。だが、このまま馬鹿にされたまま終えるつもりは毛頭ない。舐められたまま逃げられるのはゴメンだ。そもそも、こういう発言を見逃していられるほど大人ではないし、なるつもりもない。そして、勝負をそんな安く見られるのは我慢できない。
「しかし、中国代表候補生も知れたものですね。勝負に絶対など存在し得ないのに。随分と生ぬるい戦い、いや戦いとも言えないものしか知らないんでしょうね」
僕の言葉にセシリアさん以外の全員が凍りついた。一夏さんも篠ノ之さんも僕に視線を向けたまま驚愕の表情。セシリアさんは自分の過去の行いを思い出したのか苦い顔をしている。鈴さんは一瞬、何を言われたのか理解出来ていなかった。が、すぐに顔を赤くして僕に噛み付いてきた。
「……あたしのこと馬鹿にしてんの!?」
鈴さんは立ち上がり怒気を僕にぶつけてくるが、気にせずに飲み物に口をつける。鈴さんのその怒りぶりは周りのクラスメイトが視線を切ったり、背中を向けるほどだ。隣の一夏さんも身を引くほど。
「最初に煽ってきたのはそちらでしょう? その気があろうがなかろうがこの際どうでもいいです。自分が勝負したことない相手を叩くなら、その相手から言い返されても文句は言えないと思います。それに、身を切るような勝負をしたことのある人間なら、間違っても絶対なんて言葉は出ませんよ普通」
この世に最強は存在しても無敵は存在しない。存在してはならない。例え、最強が相手でも何らかの勝算は眠っているものだ。重要なのは
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