16話
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わってきたように感じる。以前はもっと反射的に言葉を発していたが、今は少なからず考えて発言するようにしていた。……篠ノ之さんや織斑先生の時だけはまだ反射的に喋ることが多いみたいだが。
「……鈴、そりゃありがたいんだが―――」
一夏さんが鈴さんに返事しようとしたところで、篠ノ之さんがテーブルを勢い任せに叩きつけながら立ち上がる。その表情は、余計なことをするな、と言わんばかりの表情だ。叩きつけた際にテーブルの上が揺れた。……昼時くらいは静かにできないのだろうか。
「一夏に教えるのは私の役目だ。頼まれたのも、私だ」
「あたしは一夏に言ってんの。関係ない人は引っ込んでてよ」
……僕もセシリアさんもなんですけどね。まぁ、それはいちいち言う必要もないことだ。
遮られた一夏さんが小さくため息をつく。
「……箒、少し待ってくれ。鈴、鈴の言葉はありがたいけど別に大丈夫だよ。セシリアも教えてくれるし、鬼一も丁寧に分かるまで教えてくれるから」
その言葉に鈴さんは視線を一夏さんからセシリアと僕に向ける。その視線は懐疑的なものとどこか人を馬鹿にした色合いに染まっていた。
「1組の代表決定戦について聞いたんだけど、アンタと対して変わらない初心者とその初心者に負けた代表候補生に何を教えてもらえるっていうの? たかが知れてない?」
その言葉に僕は食事の手を止めない。セシリアさんは涼しい顔をしている。随分と舐めたことを言われたがこの程度、気にする必要もない。そもそも、鈴さんの発言そのものに意味がないのだ。
一瞬、血液が頭に登りそうになったがそれはどうでもいい。
セシリアさんは僕に負けたことは事実として受け入れているだろうし、この程度の煽りなどなんのその。涼しい顔をして食後の紅茶を飲んでいる。
だが、一夏さんはその言葉を見逃すことは出来なかったらしい。険しい顔つきで鈴さんに反論する。
「……鈴、俺を馬鹿にするのは別にどうだっていいけど、この2人を馬鹿にするのは許さないぞ」
「だって事実でしょ? 仮にあたしが戦っても絶対勝つわよ」
鈴さんは鼻で笑い、調子の良い声色で確信している口ぶりで話す。……まさか、これ素で言っているのか? 大した自信だ。やってもいないのにな。
鈴さんの発言の一部分に僕は苛立ちを持つが、今は抑える。
「……鈴!」
その言葉に一夏さんは怒りの声を上げる。一夏さんの怒りが予想外だったのか、鈴さんは一瞬怯えた表情に染まりかけた。篠ノ之さんは驚いたように一夏さんの顔を凝視。周りを見渡すと、クラスメイトの視線に怯えが見える。
「別に構いませんよ一夏さん」
「別に構いませんわ織斑さん」
僕とセシリアさんが同じタイミングで一夏さんを諌める
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