16話
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こちらこそよろしくね。それと、鳳じゃなくて鈴でいいわ。こっちもそっちのことセシリアって呼ぶから」
「ではお言葉に甘えて、鈴さんと呼ばせていただきますわ」
食事する手を止めてセシリアさんは自己紹介を行う。その仕草と声色は柔らかく、優雅、とさえ言ってもよかった。
鈴さんもその自己紹介を受けて姿勢が正しいものになり、セシリアさんのそれとは違い、力強く、活発さを感じさせる声で自己紹介をした。
自己紹介を終えて、鈴さん以外の3人の視線とクラスメイトの視線が僕に向けられる。……昨夜、もう済ませてるから特に言うことないんだけど。
ラーメンの器に口をつけて豪快にスープを飲み干した鈴さんは僕にお礼を述べる。述べる前に視線を周りに走らせていたから、僕に視線が集まっていることにも気づいたんだろう。彼女なりのフォローなのかもしれない。
「鬼一、昨夜は案内ありがとうね。おかげで余計な手間を取られずにすんだわ」
その言葉に僕はステーキをカットしている手を止める。
「いえ、どういたしまして。お力になれたなら幸いです」
僕たちが顔見知りだということに気づいた一夏さんが疑問の声をあげる。
「? あれ、なんだ2人とも知り合いだったのか」
「昨夜、総合受付に向かっている途中で鈴さんに会ったんですよ。どうやら道に迷っている様子でしたので案内させてもらいました。それだけの話ですよ」
途中、一夏さんと篠ノ之さんを見つけたことを口にはしなかった。する必要もないと思う。鈴さんのあの時の表情、心境が分からないから口に出来ない。
「ねぇ、一夏。アンタ、クラス代表なんだって?」
鈴さんが話題を変える。その話題に対して一夏さんの表情は優れない。まだ、折り合いがついていない部分があるのかもしれなかった。どうして、最下位の自分が代表なのか? って。相応の理由があっても、それで納得できるかどうかはその人次第でしかない。……僕が言っていいことではないが。私情も混ざっているわけだし。
「……まぁな」
表情と一緒で一夏さんの声は明るくない。ISのトレーニングはともかく、クラス対抗戦に関してはあまりモチベーションが高くないように感じた。あまりいい傾向ではない。これは何らかのフォローが必要かもしれない。
「ふーん……あ、あのさぁ。ISの操縦、見てあげよっか?」
先ほどまでと違ってどこか口が重く感じる鈴さん。だけど、その言葉は一夏さんにとって承服できるものかどうかは知らないが。
「……」
鈴さんの言葉に一夏さんは黙り込む。食事の手を止めて視線が下を向く。何て言えば良いのか考えているように見えた。鈴さんの善意、教えている僕たちのことを考えているように見える。
……少し、以前の一夏さんに比べて変
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