16話
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千冬は生徒会室の出入り口のドアの近くで、腕を組み壁に身を預けながら頷く。
「そうだ」
そんな千冬に対して楯無は机の上で手を組んで質問を続ける。
「そしてその辺りの秘密は両親の他界、もしくはその前後にあると」
「自分でもとんでもないことだと考えているがな。そんな才能が子供の中にあることなど、出来ることなら信じたくない。だが月夜は普通だとは到底考えにくい」
楯無にとっても、そんな才能を秘めている子供がいることなど信じたくない。僅か14歳の少年には余りにも重すぎる才能。仮にあるとしたら、それは自分も他人も不幸にするものでしかないと楯無は思う。自覚できないことも含めて、だ。
「……彼と親しい、近い人間はみんなプロゲーマーになってからの関係ですので、その辺りを知っている人間は殆どいないですね」
「確か奴には、面倒を見てくれていた姉貴分のような存在がいなかったか?」
現役であり、女性の身でありながらe-Sportsの最前線を走り続けるプロゲーマー、アヤネ。鬼一の両親が亡くなる前、亡くなった後の鬼一に関わりのある人物。
「彼女も本格的な付き合いを持ち始めたのはプロゲーマーになってからです。小さい頃に何度か遊んであげたことがあるみたいですが、自身の都合のこともあって側に居てあげたことは実際には少ないみたいですね。極めて多忙な人物みたいですし」
「……そうか」
―――……両親を除けば月夜を深く知っている人間はいないのか、それも幼少期の頃の月夜を。
ヒントを無くした千冬はそんなことを考えていたが、難しい顔をして考え込んでる楯無に気づいた。
「どうした。何か気になることがあるのか?」
「……正直、私としては信じ難いことなので話すのは気が進まないのですが……」
本当に気が進まないのか、楯無の声は心なし沈んでいる。こんな楯無を見るのは千冬は初めてだった。
「構わん。今は奴を知る手がかりが少しでも必要だろう」
「……彼の両親がISの研究者、開発者だったのはご存知ですよね? その2人は月乃宮研究所の中でも優れた人間でした。鬼のベースを生み出したのは彼の両親です」
鬼一の両親が生前ISに関わっていることは千冬も知っている。
「鬼の開発に関しては初耳だな。それで?」
「その2人を可愛がっていたのが、月乃宮研究所のトップであり鬼神の開発者である月乃宮 源三氏でした。鬼一くんのことも実のお孫さんみたいに可愛がっていたみたいです」
「ほう、そんな人がいるのか。ということは、その人なら月夜のことも詳しく知っているだろうな」
「……ですが、その人も今はいません」
「……そう、か。いつ、亡くなったんだ?」
「……違います」
楯無の声が明ら
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