暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
16話
[2/24]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いけないことに憂鬱になる。必要だと分かっていても苦痛でしかないものは、ただただ嫌でしかない。

 券売機で1万円札を1枚投入し食券を20枚近く購入しなくてはいけないし、食券が出てくる時間も正直あまり好きではない。自分の後ろにいる人たちを待たせるわけなのだから。……いっそのこと暇な時間を見つけてまとめ買いしたほうがいいだろうか? こう、200枚くらい派手に。

「待ってたわよ、一夏!」

 両手を腰に当てた鈴さんが僕たちの前に立ちふさがった。……元気なのは結構だけどそこにいると邪魔になるので注意しようとしたが、僕が口を開いた瞬間、一夏さんが先に声をかけた。

「あー……鈴? 言いにくいんだけどそこ空けてくれないか? 食券出せないし、他の人の通行の邪魔になってるぞ」

「わ、わかってるわよ! 大体、アンタを待ってたんでしょうが! なんで早く来ないのよ!」

 鈴さんの理不尽な声に一夏さんは肩を落としていた。しかし、すぐに立ち直った一夏さんは食券をおばさんに渡す。どうやらこういったことは昔からあるようだ。随分と慣れた反応に見える。

「……随分と久しぶりだな。あれから1年くらいか? 病気とかにかからずに元気にしてたか鈴?」

 どことなく嬉しそうな声の一夏さん。本人も無意識だろうがその声は弾んでいる。

「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、たまには怪我病気しなさいよ」

「なんだよそれ。どんな無茶振りだ」

 その理不尽な注文に一夏さんは肩をすくめて苦笑するだけ。しかし、一夏さんの周りの女性って強気な女性が多いな。篠ノ之さん、織斑先生、鈴さん。……一夏さんはそういう女性と関わる星の下にでも生まれてきたと言われても不思議ではないと思う。

「一夏さん、日替わり定食来てますよ」

「あ、わりい鬼一。向こうのテーブルが空いているから、先に行って取っておくな」

「了解です。すぐに行きます」

 日替わり定食を持った一夏さんは一足先に空いているテーブルを確保するために歩き出す。その後ろに鈴さんが慌ててついていく。彼女のお盆の上にはラーメンが乗っかている。篠ノ之さんは自分が注文した料理をおばさんから受け取ると急ぎ足で追いかけた。……きつねうどんなんだからそんなに急いだら危ないと思うが。

 頼んだ量が量のためか大体僕は一番最後になる。一番最初に頼んだのに、一番最後に注文したセシリアさんの洋食ランチとほぼ同じタイミング出てきた。

 僕のお盆とセシリアさんのお盆が並ぶ。……僕のお盆がセシリアさんの3倍くらいあるのはギャグの領域にしか思えない。僕が食べるわけでなければ笑うレベルだ。お盆の上に乗せられた料理の量を見てため息を零す。
 僕は自分の重いお盆をしっかりと持ち、先に待っていたセシリアさんと一緒に一夏さん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ