16話
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難しい問題、と思う。
授業の内容を聞きながらシャーペンの先でノートを叩く。授業の内容が難しいというわけではなく、クラス対抗戦のことだ。
今の織斑さんが代表候補生と正面から戦って勝つことは現状ほぼ不可能。相手はIS競技人口最多の中国代表候補生の鳳 鈴音が相手、そして彼女は近接戦闘を得意とする操縦者。
わたくしの頭の中で鳳 鈴音の特徴やISのスペックが頭の中で流れていく。同時に織斑さんの現在の動きが思い浮かび、両者の比較を行う。触れることさえできれば織斑さんの勝利は確定するが……ただ、触れることさえも困難と言わざるを得ない。
彼女の戦闘距離は近距離から中距離がメイン。特に近距離戦闘に関わるスキルは間違いなく指折りと言ってもいいだろう。様々な操縦者がいる中国で代表候補生になるのは容易じゃない。
鬼一さんはどうお考えになられているのか。あの方はこの2人の戦力差をどう受け止めていらっしゃるのか。少なくとも鳳 鈴音についても少なからず知っているだろうし、織斑さんについてもわたくしたちの中では一番理解している以上、わたくし以上に2人の戦力差を分析できるはず。
視線を正面から右に逸らす。その視線の先にいるのは眼鏡をかけた小柄な少年。あの人は左手で頬杖をつきながらシャーペンを右手の指先で器用に回転させている。視線は正面を向いて授業に向き合っているようだった。
……少し、顔色が悪い。表情はいつものように真剣さが滲んでいる表情だが、どことなく力がなく見える。……昨夜より澱んでいるような気がした。
―――――――――
「鬼一、メシ食いに学食行こうぜ」
授業終了後、僕は一夏さんから昼食のお誘いを受けた。一夏さんの後ろには篠ノ之さんの姿が見える。その表情は厳しいが既に見慣れたものだ。疎まれているのは分かっているが、今後の一夏さんのトレーニングに悪影響を与えかねないのでなんとかしたいと思っている。だが、その方法が思いつかない。どうしたものか……?
一夏さんの誘い自体には特に断る理由もないので了承する。
「大丈夫ですよ。セシリアさんも一緒にいかがですか?」
流石にこの2人の間に飛び込んでいくのは勇気がいる。それにセシリアさんとお話ししたいという気持ちもあるのでお誘いした。
「わたくしでよろしければ喜んで」
嬉しそうなセシリアさんの表情と柔らかな仕草で髪を撫でる。
前には一夏さんと篠ノ之さん。その後ろに僕とセシリアさん。もう慣れたが僕たちのその後ろにはクラスメイト数人がついてきている。それなりの大人数で学食に向かう。……こんな人数で廊下を歩いて他の人の迷惑にならないだろうか? 正直邪魔くさいと思わなくもない。
……朝もしこたま食べたのに昼も夜もあの量を食べなくては
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