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第三十七話 前線で一番苦労するのは誰なのです?
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のところ、わが艦隊は凸形陣形を取ってシャンタウ星域の敵の本星である第三惑星シャンゼリゼに進軍中です。敵の備えはそれに対してわが軍の正面に艦隊を展開、総数12,000隻。ですが、これは3つの分艦隊に分かれております。一はバーベッヒ侯爵自らが指揮を執り、一は老侯爵の甥のカール・フォン・ルクセンベルグ子爵に、最後の一はバーベッヒ侯爵のご子息(次男ですね。)のフォイエルバッハ・フォン・ティオデール伯爵が率いておられます」
シュナイダー少佐の説明にメルカッツはうなずき、
「わが軍は高速で侵入し、この三つの艦隊の、それぞれの旗艦を速やかに撃破、転進して射程外に速やかに離脱します。幸いバーベッヒ侯爵一門の私設艦隊に関するデータは既に帝国軍登録艦船データシステムから抽出できておるので、旗艦の特定は容易です。その後時間をおいて降伏勧告を相手方に送るのです。指揮官が戦死すれば、しかもそれが一門の中核となる人間であれば、残りの者は抗戦の大義も、意志も失うはず」
アレーナはなるほどと思った。メルカッツ提督の戦法は敵の指揮系統を鮮やかにつぶし、かつ双方ともに犠牲が出ない方法を選択している。名将たる者そうでなくてはとアレーナは思った。他の諸将も賛成の色を浮かべている。ただ――。
「ただ、問題が一つあります」
ベルンシュタイン中将が発言した。
「それはバーベッヒ侯爵の私設艦隊がアステロイド帯の中にいるということです。惑星シャンゼリゼはアステロイド帯に囲まれた惑星。どこから侵入してもアステロイド帯を突破するほかありません。アステロイド帯では当然ながらわが軍の艦隊速度は低下し、敵に対しての有効射程に到達する前に狙い撃ちをされてしまいます」
そう、そこなのだ。アレーナが危惧するところは。アステロイド帯を突破すれば、後は広い空間があるため、高速艦隊の強みが出せる。問題はそこにたどり着くまでなのだ。そこで―。―
「艦載機隊はどうでしょうか?」
アレーナが提案した。
「艦載機隊?ワルキューレ部隊のことですか?」
メルカッツ提督が意外そうな顔をした。
「はい。小さな艦載機ならばアステロイド帯もさほど障害にならないと思ったのですけれど・・・・」
「しかし、艦載機隊だけでは・・・いや、そうか」
ベルンシュタイン中将が一人うなずいた。
「一部の艦隊を正面からひた押しにして敵の眼を引きつける間に、艦載機隊が敵の死角から突入、旗艦に集中砲火を浴びせ、轟沈させる、ということですね?」
「あら、わたくしはそこまで考えていませんでしたわ。さすがはベルンシュタイン中将閣下ですわね」
嘘ばっかり。アレーナもそれを考えていたのである。だが、あまり先走りすぎると、メルカッツ提督やベルンシュタイン中将の手前、よろしくな
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