第57話
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な表情で尋ねた。
「あ、ああ、その通りだ。気が弱くて、ミスの目立つ新人アーティストだったんだが………記念祭の後くらいかな。急に驚異的な才能を見せ始めたんだ。」
「………………才能というのは、具体的には………」
「―――卓越した身体能力だ。それに情熱的な演技も難なくこなすようになった。」
「でもあれって………まるで憑き物がついたような感じよね。絶対ニコルがやるような演技じゃないわよ。」
「ええ、それに何だか熱に浮かされたような雰囲気で………まるで別人みたいでした。」
「なるほど………(この様子だと他の人達も失踪しているでしょうね……)
劇団長、イリア、リーシャの話を聞いたレンは頷いて厳しい表情で考え込んでいた。
「劇団長さん、ニコルさんの事は支援課に任せて頂けないでしょうか。もしかすると、私達の方で探し出せるかもしれません。」
「本当かね………?もしそうなら願ってもない。是非頼みたい所だよ。」
「そうね、貴女や弟君達が担当してくれるなら安心かも。それにあたしたちも、公演の段取りを付けないといけないしね。」
「え……まさか役者が一人欠けた今の状況で今日の公演をするのかしら?」
イリアの説明を聞いたレンは驚きの表情で尋ねた。
「ええ、それも話し合っていた所なんだけど………ニコル君が戻らなくても舞台をやめるわけにはいかないわ。何とか役をやりくりして上演するつもりよ。」
「劇団アルカンシェルが舞台を降りる事などありえませんからな。」
「ああ、役や台本、演出も調整しなければならないだろうが………公演時間を遅らせるという手もある。何とかして実現するつもりだよ。」
「……ふふっ、さすが”アルカンシェル”ですね。………わかりました。皆さんは公演の方をお願いします。ただし、楽屋や客席にニコルさんが戻っていないか常に注意しておいてください。もし見つけた場合はすぐに支援課の方に連絡を。」
劇団員や劇団長達の話を聞いたレンは微笑んだ後指示をした。
「わかった、そうしよう。」
「……ごめんね、私がもっと注意していればこんな事には………ニコルさんのこと、どうかよろしくお願いね。」
「ええ、レン達に任せて。」
そしてレンが劇場を出るとリーシャが近づいてきた。
〜歓楽街〜
「―――レンちゃん!」
「?どうかしたのかしら、リーシャお姉さん。」
「その………レンちゃんにどうしても聞きたい事があって………」
「レンに?……うふふ、もしかして”L”でもあるレンが独自で何か情報を手に入れていると思っているのかしら?」
リーシャの話を聞いたレンは目を丸くした後事情を察し、意味ありげな笑みを浮かべ
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