第57話
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「ああ、噂には聞いてたな。確か幹部とタイマンしたとかなんとか………」
「それがさ、昨日はついにヴァルドに喧嘩を挑んだらしいよ。」
「あ、あのヴァルドに………!?」
ワジの話を聞き、ヴァルドの強さを身をもって体験した事があるロイドは驚きながら尋ねた。
「そういうこと。聞いた話だけど、ものすごいスピードと力でヴァルドと良い勝負をしたらしいよ。最終的にはヴァルドが全力を出して何とか勝ったらしいんだけど………ディーノの方はそのまま飛び出て行った挙句に今朝、誰も姿を見てないらしいんだ。」
「ヤバイじゃねえか……」
「ああ……ただ事じゃないな。」
ワジの説明を聞いたランディは目を細め、ロイドは静かな表情で頷いた。
「それで………やっぱり何かのクスリなわけ?」
「なっ………どこでそれを……!?」
ワジの問いかけを聞いたロイドは信じられない表情をし
「あ、やっぱりそうなんだ。最近『願いが叶う薬』とかいう都市伝説みたいな噂が流れてるからさ。もしかしてと思ったんだけど。」
「カマをかけたのか……」
「おい、あんまり周りに広めるんじゃねえぞ?事が事だからな。」
自分の反応を見て納得した様子になったワジを見て自分がカマをかけられた事を知るとまんまとカマをかけられた自分の不甲斐なさに疲れた表情で溜息を吐き、ランディは真剣な表情でワジに忠告した。
「フフ、その辺はわきまえてるよ。ま、旧市街じゃ今の所そのディーノって子以外にクスリを使ってるのはいなさそうだ、ただ、誰がクスリをさばいてるのかもわからないしね。僕の方でも気を付けておくよ。」
「……助かるよ、ワジ。」
その後ロイドとランディは住宅街に向かった。
〜グリムウッド法律事務所〜
「やはり報せた方がいいでしょうか……」
「うーむ、しかし間違いだった場合先方の不利益になりかねない。まずは事実関係を確認してからだね。」
「そうですね……」
ロイド達がトリニティを訪れる少し前、事務所でハロルドとイアンが話し合っていて、そこにエリィとティオが入って来た。
「おや、君達は……」
「ハ、ハロルドさん!?どうしてハロルドさんが先生の所に………(ど、どうしましょう……レンちゃんも一緒についてきているけど……)」
自分達の登場にイアンが目を丸くしている中ハロルドに気づいたエリィは驚いた後レンとハロルドが顔を合わせるのは不味いと瞬時に理解するとティオに小声で相談したが
(……わたし達が心配しなくても、既に勘づいて逃げたみたいですよ。)
(え………い、いつの間に……)
ティオの返事を聞いて呆けた後事務所に入る直前まで自分達と共にいたレンが既に姿を消してい
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