暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K24 キミを救い出したい
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もまだウェルを信じるのか!? 切歌!」
「ヨハンには分からないデス! 調を遺してく、あたしの気持ちなんて…分かるわけない!」

 前も言っていた。LiNKER装者でも“フィーネ”でもないヨハンは、ずっと調と生きていける――駄々っ子のように。世界の不幸を一身に負わされたとでも訴えるように。

「きりちゃんが、わたしを遺してくって、どういうこと?」
「…………あたしの中に、“フィーネ”の魂が覚醒しそうなんデス」

 今までの違和感が現状と繋がった。
 情緒不安定。らしくもない騙し討ち。全てが“フィーネ”に塗り潰されていく中での、暁切歌の抗いだった。

(マリアじゃないと分かってホッとした矢先にこれだ! 僕らは確かにフィーネの子孫だろうと言われてる人間の集まりだけど。どうして。どうしてよりによって切歌に!)

「何度だって言うデスよ! 『これから』があるヨハンとないあたしじゃ、どうしたって分かり合えない!」

 噛みしめた奥歯が割れる直前に、温かいものがヨハンの手を握った。
 手袋越しの、小さく細い、愛しい調の手。

「大丈夫」

 調はヨハンの前、ちょうど切歌の真正面に立った。

「だとしたらわたしはなおのこと、きりちゃんを止めてみせる。これ以上塗り潰されないように。大好きなきりちゃんを、守るために」
「守るとか言うなッ! あたしが! 大好きな人たちがいる世界を守るんデスッ」
「どうしても?」
「どうしても、デス!」

 説得できるならそのほうがよかった。だが、切歌が戦いを選んだ場合の覚悟も、ヨハンも調も決めてきた。

 理解し合うための衝突を恐れてはならない。それは立花響と小日向未来の戦いを観て学んだ、大きな真理。

 調を見やる。マゼンタの双眸に宿る想いは同じ。
 肯き合い、二人はすうっ、と息を吸った。


         キミを救い出したい この星空を 永久の彼方へ焼いてでも


 ヨハンは調と声を重ね、歌った。
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