2期/ヨハン編
K24 キミを救い出したい
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「いますよ。こういう交渉は僕が担当していますので、僕が代表して話しているだけで」
《調ちゃんも、仲間を――切歌ちゃんたちを止めたいって思ってくれてるんですか?》
「はい」
通信席に座るヨハンが調を見上げた。調にどうするかを無言で問うている。
調は溜息をついてヨハンの隣に立った。
《調ちゃんっ》
「……勘違いしないでね。わたしはただみんなを止めたいだけ。そんな時にあなたたちまで敵に回したんじゃ厄介だから。正義感なんかで戦うんじゃない」
画面の中の響がぱちぱちと目を瞬いてから、相好を崩した。
《わたし、自分のやってることが正しいだなんて思ってないよ》
「――は?」
《前も大きな怪我をした時、家族が喜んでくれると思ってリハビリを頑張ったんだけどね。みんなが言ったよ。『本当はケガなんてしてなかったんだろ』、『税金ドロボー』、『人殺しといてよく生きてられるよね』……って。わたしが家に帰ってから、お母さんもおばあちゃんも暗い顔ばかりしてた。本当のありのままを語っても、誰も信じてくれなかった》
立花響はふにゃふにゃと笑う――笑っている。
響にとって過去は過去、現在に影を落とすものではないのだ。
痛みを知りながら、立花響はそれを克服したのだ。
《偽れば傷つかずにすむんだとしても、わたしは自分の気持ちだけは偽りたくない。偽ってしまったら誰とも手を繋げなくなる》
響がディスプレイに向けてパーを出した。調ちゃんもっ、と元気に言われた。
調は何が何だか分からない内に、ディスプレイに手の平を向け――置いた。
画面越しに、調と響の手が、繋がった。
気づいて、調はぱっと画面から手を離した。
「……だけど、信じるの? 敵だったのよ」
《敵とか味方とか言う前に、子供のやりたいことを支えてやれない大人なんて、カッコ悪くて敵わないんだよ》
《師匠〜♪》
「相変わらずなのね」
《甘いのは分かっている。性分だ。――ん?》
調は答えなかった。今のは月読調の言葉ではなかったが、進んで明かすほど自分はいい子ではないから。
ヨハンはクッション素材のアタッシュケースに入るだけのLiNKERと、応急処置に使えそうな物を入れた。
体がAnti_LiNKERに慣れているヨハンはともかく、Anti_LiNKERを打たれた調はもう一度LiNKERを摂取し直さなければギアを纏えない。
「何してるの?」
背後から調が、ヨハンの肩を支えに身を乗り出し、手元を覗き込んできた。
「戦支度。補給が断たれた時にみんなの物資的フォローをするのも僕の
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