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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 魔女のオペレッタ  2024/08 
12話 争乱の足音
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るグリセルダさんも、口を噤んでくれているから有難いところだ。


「それにしても、大したもんだな」


 このギルドに所属する六十余名と知り合いとは、中々に強者だ。相棒ながらに侮っていたが油断ならない相手であったらしい。


「むっふっふー、すごいでしょ〜?」
「………褒めてやりたいところだが、やっぱりその態度が気に食わない。そのドヤ顔をやめろ」
「そういう問題なの!?」
「………リンさん、あまり冷たくしたらダメですよ? ヒヨリさん泣いちゃいますよ?」


 だが、やはりどうしても態度が気に食わない。
 ティルネルの忠告は素直に受け取りたいところだが、どうしても譲れない一線というものは如何なるものにもあるものなのだ。例え後ろにゾロゾロとくっ付いて来た女の子が敵に回っていようと、それだけは揺るがない。
 ………と、そうこうしているうちに先導するグリセルダさんが足を止める。その先には観音開きになった大きなドアがあり、広々とした室内を予想させる威容を晒していた。


「ここね」
「………なんだこれ、増築でもしたのか?」
「前からあったらしいんだけど、こんなに大きいと部屋を把握するのも一苦労らしくてね。それに、こういう時にでも使っておかないと勿体ないじゃない?」
「まだ全部把握できていないのか………」
「ギルドに加入して日の浅い娘の中には迷っちゃって、そのまま誰かに泊めてもらうこともあるそうよ」
「欠陥住宅じゃねえか。ってか、もしかしてさっきの泣きそうになってたやつらは………」
「………この空間の餌食になった娘よ」


 五十層主街区に踏み入れでもすれば遭難沙汰になりそうだと危惧しつつ、いつの間にか増えた取り巻きをグリセルダさんに任せて室内へと進むべくドアを開く。
 内装は広い天板のテーブルと造りの良い机にソファ、壁際に幾つか置かれた棚の織り成す執務室然とした内装。そこに集まっていたプレイヤーは、どれも見覚えのある顔ばかりだった。

 このホームの主である《片翼の戦乙女》の最古参である四名は言わずもがな、その他にもう二人の姿が確認できた。

 一方は白地に赤い十字架の意匠が刻まれた装備の細剣使い。血盟騎士団副団長、《閃光》ことアスナ。
 もう一方はフードを目深に被ったクロー装備の情報屋。《鼠》ことアルゴ。どういうわけか、彼女だけソファに腰掛けている。
 この取り合わせはかなり珍しいが、少なくともアインクラッドにおいてそれぞれの分野で名を馳せるプレイヤーだ。まずヒヨリの思うような遊びの誘いではないだろう。何より雰囲気が物々しい。


「ようやく来たわね。待ってたわよ」
「全員、揃いましたね」


 入室一番、クーネとアスナから一瞥向けられる。
 アスナはいつもと変わらず切れ味が鋭い
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