機動戦艦ナデシコ
1379話
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その話を聞いた神楽坂は、嫌そうな表情を浮かべて俺へとジト目を向けてくる。
「ちょっと、こういう時にそういう事を言わないでよ。デリカシーに欠けてるわよ。ねー?」
最後のねーというのは、当然俺に向けられた言葉……ではなく、撫でている羊の子供――俺に懐いているのとは別――に対してのものだ。
いやまぁ、神楽坂がそんな態度を俺に取るとは思えないからいいんだけどな。
「あー……そうだな。今のはちょっとデリカシーがなかったかもな。悪い」
「メー」
そんな俺を励ますかのように、羊の子供が鳴き声を上げながら顔を擦りつけてくる。
……どうでもいいけど、羊の子供じゃなくて子羊って言うと食材に思えてしまうな。
子羊のローストとか、普通に聞く料理名だし。
頭の中に以前に食べた料理が思い浮かび……するとそんな俺の考えを読んだのか、それともただの偶然か、ともあれ俺に懐いていた羊の子供は神楽坂へと向かって歩いて行く。
それを見た神楽坂は、得意気な表情を浮かべながら俺の方へと視線を向けてくる。
「ふふん、この子達も自分の事を食べ物として見ているって気が付いたんでしょうね。どう? アクセルも自分の罪深さが理解出来た?」
「いや、俺は別にそんなつもりは……なかった、とは言わないけどな」
ここで誤魔化しても意味はないだろうし、素直にそう告げる。
俺を言い負かしてご満悦の神楽坂と共に、20分程羊の子供を愛でながら過ごし……ふと小腹が空いているのに気が付く。
「なぁ、神楽坂。少し腹が空かないか?」
「え? そう? ここに来る前に超包子で食べてから、まだそんなに時間は経ってないと思うんだけど……うーん、でも言われてみればそうかも。何か食べる?」
「ああ。土産物屋にある食堂に行かないか?」
一応この牧場にも食堂は存在する。
まぁ、食堂というよりは、この牧場で作っているハムとかベーコン、チーズ、ソフトクリームといった加工食品を食べる為の場所なんだが。
料理をするのは量産型Wなので、四葉が作るのに比べれば味は当然落ちる。
それでも凝った料理であればまだしも、今食べたいのは簡単に食べられる料理だ。
それこそボイルしたウィンナーとか、焼いたベーコンとか。
あまり手の込んだ料理ではない以上、腕の差はそこまで出ることはない……と思いたい。
「うーん、そうね。じゃあ行きましょうか。知ってる? ここのソフトクリームって美味しいのよ?」
「いや、それは俺が地球や木連の連中に言っただろ」
「あ、そうだっけ? ま、いいわ。じゃあ行きましょ。ごめんね、じゃあ私達は行くから。また今度来た時に遊んでね。……アクセルにはよく注意しておくから」
羊の子供を撫でながら神楽坂が告げると、まるでその言葉を理解して
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