第七話 仮面舞踏会だよミューゼル退治 そのB
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そしてマールバッハ家が政界への復活を約束されたということも。
放蕩の果てに一門の総意を突きつけられ隠居を強制された先代様にも残りの一生を保証するささやかな利権が回ってきたということは、マールバッハ家が不出来な一族にまで配慮するに足る存在、つまり権力に近い存在になったということを意味する。
『出世の手蔓の料金の請求は当分先にしといてやるぜぇ?出世してから取ったほうがガッポリもらえそうだからなあ?んははははは』
そしてこの先波乱が起こる、いやこの悪魔が起こすであろうことも、いつものように変身すればいいものをわざとらしくボストンフレームの眼鏡を外し、後ろを向いて蛍光色のカラーコンタクトを入れてから凄むと三流以下の大根役者のような演技をしている悪魔に説明してもらう必要もなく理解できた。
『へいへいおぼっふぇふれはあ!ははははははは』
『見苦しい真似するなばう』
『セリフも間違えてるがう』
早くもというか早速というか、嘲笑う時用の前歯が牙だらけになった入れ歯を装着しそこね、さらに外しそこねてもごもごと言っていた悪魔が直立したハスキーたちに蹴飛ばされながら退場した二時間後から事件が起これば、分からない方がおかしい。
『…アリア・ライチェの死は自身の優秀性を否定されることをひたすらに恐れ、部隊に発生した問題を報告、対処することを怠った指揮官としての資質に欠ける行動を遠因感情を抑制する理性の欠如を直接の原因とする。婦人を士官として登用する叛徒の軍事制度の誤りとルドルフ大帝陛下の定めた社会秩序の正しさを証明する出来事であり、今後婦人を後方、非戦闘分野の士官相当官でない正規の士官、ひいては戦闘指揮官として登用することは実際的でないのみならず祖法にもとる反逆行為といえよう…』
『アルフレット、忙しいところをすまない』
「なんだと、すぐに参上すると申し上げてくれ」
途中から急激にまずくなった食事を終え、私室で休暇中の課題とアリア・ライチェ名誉大尉の事故死と試験的に行われていた人事制度の中止、地上軍に配備される新型攻撃空母のコンペをめぐる汚職など現在進行中の様々な事件についての情報収集、見解の執筆に励んでいた俺の手は耳に父上の大声とマトリクス越しのブルーノの声が飛び込んできたことによって急停止した。
「なに、かまわないさ。君と俺の仲だ」
まず私室でブルーノから、続いて応接室で、地上車の車内で父上から飛び込んできた知らせは権力の横暴と出世のチャンスを同時に感じさせる内容だった。
「マールバッハ家の荘園産の蘭の花が皇妃陛下のサロンで話題になっている」
リヒテンラーデ侯の秘書官ワイツとも懇意である皇妃陛下付きの侍従長ブレンターノ男爵がお館様の名代として参内した家宰様に世間話を装って漏らしたという情報は俺の目から見ても分か
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