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RSリベリオン・セイヴァー外伝 「オオカミと巫女]
オオカミと巫女
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、工藤は今にも泣きそうな櫻へ拳を振り下ろした……が。
「やめろって!?」
しかし、そんな暴行をふるおうとしていた工藤の片腕を、何者かがガシッと掴んだ。
「なんだ! 貴様は!?」
「く、鎖火……さん?」
そこには、先ほどまで軽蔑していたあの青年が、窮地に現れてくれたのだった。
「なにムキになってんだよ? 相手は学生の娘じゃないか?」
「むぅ? 貴様……境内の時にあったあの男か?」
「だからなんだよ?」
「フン! このガキといい、貴様といい、どれもこれも私の視界を腐らせるゴミめ!」
「なんとでも言え? だがな、暴力だけはやめろ! そんなことでもしたら、一流企業の名が泣くぜ?」
「……!!」
しばし、工藤はこれでもかというほどの怖い目つきで俺を見た。俺も少しビクッとしたが、それでも時期になれる。所詮、自分の思い通りにならないと気が済まないようなガキだ。
いるんだよな? こういう、中身だけガキになった大人ってのがさ……
「チッ……!」
工藤は、舌打ちと放つと行ってしまった。
「大丈夫か?」
俺は振り返って、尻餅をつく櫻へ手を伸ばした。
「あ、ありがとう……」
きょとんとしながら、彼女は俺の手を取って立ち上がった。
「ケガはない?」
「う、うん……」
「じゃあ帰ろう? 弥生も心配してんだしさ?」
「……」
櫻は、コクリとうなずくとそのまま俺の後に続いて待ち合わせのバス停へと歩いた。
「……ねぇ?」
「ああ?」
バスの中で、揺れながら櫻は隣に座る俺にこう問いかける。
「……どうして、あの時助けたのよ?」
「は?」
「だって、相手はIS企業の御曹司だし、権力使ってきたら……」
「ああ、構やしねぇよ……?」
だが、一般の人間なら堂々とたてつこうとはしない。今や、IS企業は政治家と同様の立場に当たり、自由に国家権力を横暴することができるのだ。だから、早い話RSを所持し、なおかつ裏政府ともつながりがある俺だからできたことだ。
おそらく、工藤の奴はこのあとすぐに国家権力を駆使して俺に襲い掛かるだろうが、その行為は反撃寸前でストップがかけられるだろう。
「単なる威嚇だろ? ああいう怒鳴りながら威張るやつなんて気の小さい奴さ」
「ふぅん……」
「そんな奴に……弥生を渡されてたまるかってんだ」
そう俺は、静かに怒った。
「……」
そんな俺の光景を、ただジッと彼女だけは……櫻だけは見続けていた。
それからというもの、なぜか櫻は俺に対して弥生に関するフィルターをかけることが極力少なくなった。
俺が、弥生の隣で飯を食っていても黙って見届けているし、弥生と一緒に授与所で奉仕を続けていてもこちらに背を向けて境内を掃き掃除している。
いつもなら、弥生と仲良くしているところで強制的に割り込んでくるっていうのに、ど
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