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RSリベリオン・セイヴァー外伝 「オオカミと巫女]
オオカミと巫女
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俺も、出来るだけ裏社会の連中とは関わりたくない。しかし、今弥生の身が危うい時に自分のことなど考えている暇はない。
「やっぱ、ここは魁人さんに……」
「あ、あの……!」
と、弥生は俺にこういう。
「え……?」
そんな彼女に俺も少しびっくりした。
「もし……狼君がよかったなら。工藤さんが諦めてくれるよう私の……こ、恋人ってことにしてくださいませんか?」
「え?」
俺は少し驚いたが、しかし彼女からはすでに臨海学校で告白されているため、今さら恋人を装う必要などない。
「えっと……それって、臨海学校のときに」
「あっ! そ、そうでしたよね……? じゃあ、え、えっと……」
しばらく体をモジモジさせながら、弥生は良き案を考える。すると……
「ろ、狼君!!」
「は、はい!」
突然立ち上がって弥生は顔を真っ赤にしながらもこう案を出した。
「私と、狼君が……『夫婦(めおと)』になっているって、設定はどうでしょうか?」
「へっ?」
めおと? なにそれ?
「めおとって……?」
「ふ……ふ……」
何やら言い出せにくいことなのか? 弥生はいまだにモジモジしながらその言葉にためらう。
「ふ……夫婦の意味です!」
「え?」
しばらく俺は茫然とした表情を取り、そして後から目を丸くさせた。
「いぃ……!?」
弥生は、俺に対してまさかの発言をした。俺も最初は驚いたが、しかし徐々にそれの発言に義務感を感じざるを得なくなる。
「だめ……ですか?」
泣きそうな声で悲しむ弥生だが、そんな彼女に俺は慌てて答える。
「そ、そんなことないよ!? そもそも、俺だって夏休みの間をここで満喫させてもらうために来たんだし、居候させたもらうんだから喜んで協力するよ? そ、それと……」
「……?」
「……大切な人が、目の前で困ってんなら放っておけないじゃないか?」
俺は照れながらそう言いぬいた。
「……」
しかし、あまりにもこっぱずかしいこと言ったことで俺たちはお互い顔を赤くしてソッポを向いてしまった。

その後、俺は弥生に案内されて部屋へ案内された。与えられた部屋は綺麗に掃除されていて、畳の香りが漂う風流な和室であった。
「ここが、狼君のお部屋になる場所です」
「いいの? こんな立派な和室を一人で使っちゃって?」
「いいんですよ? ウチには部屋が結構余っていますから」
「じゃあ……しばらく、お世話になります」
俺は、少し恥ずかしがりながらも弥生へぺこりとお辞儀をする。
「はいっ♪」
「ところで……俺は、これからどうすんだ? やることがあるなら、手伝わせてくれよ?」
荷物を下ろし終えたところで、俺は彼女へ振り返った。
「え? でも……狼君は大事なお客様ですし」
「かといって、このまま居候の身でいるのはどうもな?」
「じゃあ…
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