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RSリベリオン・セイヴァー外伝 「オオカミと巫女]
オオカミと巫女
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んのことが好きなんですよね?」
「ど、どうしたの? 急に……」
「単刀直入に言います! 先輩……赤ちゃんが欲しいでしょ?」
「え!?」
弥生はまるで心を見透かされているかのように驚いた。
「否定はしません。けど……もし、弥生先輩は本当に鎖火さんの赤ちゃんがどうしても欲しいんだったら、私は敬愛なる先輩のために一肌脱ごうと思います!」
と、熱意あふれる目をして櫻は弥生の前絵に迫った。弥生も、これ以上ごまかすことはできないことを知って、静かに顔を赤くしてうなずいた。
「うん……本当は、私も狼君の赤ちゃんが欲しいの」
「でも、もし鎖火さんが嫌って言ったら?」
「それなら、諦めるしかないけど……でもぉ」
「それでも欲しいんですよね? 赤ちゃん」
「うん……」
「それなら! この私にとっておきの案があります!!」
「え?」
*
夏祭り当日、俺は祭りの準備を村人たちと共に手伝っていた。大小さまざまな出し物や屋台のテントを組み立てたりと、引っ張りだこだった。
何せ、俺意外に若い奴は五本の指で数えるぐらいであり、俺はその中の貴重な戦力としていろいろと扱き使われている。
「ふぅ……やっと終わったか?」
汗だくになって、近くの水舎の水を両手ですくって顔を洗った。冷たい井戸水は日焼けした俺の皮膚を気持ちよく冷やしてくれる。
「さて、もうひと頑張りといくか?」
「あ、あの……狼君?」
「弥生?」
すると、背後から歩み寄る弥生に俺は振り向いた。今でも、彼女は俺を見るたびに顔を赤くしながらモジモジし続けている。
「弥生か? どうした?」
「あ、あの……えっと……その……」
「……?」
何か言いたそうな口だが、なかなか言い出せない。いつものことだから俺はそこのところはゆっくりと待ってやる。
「……今夜、狼君のお部屋へお邪魔してもいいです……か?」
「え?」
「だ、駄目でしたら……」
「いいよ?」
「え? 本当!」
「ああ、別にいいけど?」
「じゃあ、今夜の八時に狼君のお部屋へ来ますね? 寝ちゃダメですからね? 絶対ですよ?」
と、それだけ言うと、はしゃぐかのように彼女は駆けていった。いつものおしとやかな彼女とは違う一面であった。いや……弥生は、俺が彼女の家へ遊びに来てからというもの彼女の雰囲気は時折変わったりしている。
IS学園にいるときは年下の女の子なのに年上で成人の俺よりもしっかりしていて大人びた風格を持った少女だった。もちろん、文武両道で俺よりも運動神経はいい上に勉強もできる優等生だ。
俺と比べたら月と鼈だ。こんな俺をどうした彼女は好きになってくれたんだろうと、いまだに理解できないのだ。
しかし、彼女が俺を心から愛してくれるのであれば、俺もその気持ちに十分こたえるつもりだ。
俺だって、弥生に対していささか劣等
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