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RSリベリオン・セイヴァー外伝 「オオカミと巫女]
オオカミと巫女
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くしながらも、弥生は万弁の笑顔で返した。
そのあと、八時丁度に櫻や臨時で雇われた学生を連れてやってきた。近づきつつある夏祭りに向けて、いろいろと準備が必要なのである。しかし、今回は男手となる俺も加わることで多少は苦労しないと弥生は話していた。
今日は、祭りの準備もかねてご奉仕をしなくてはならないから準備は村人の人たちも手伝ってくれるらしい。
そんな中、俺は境内の片隅にある物置小屋の整理を行った。埃だらけの中を雑巾で拭いたりしてせっせと掃除を続ける。
「はぁ……」
そんな一方で境内を掃き掃除している弥生は昨日のことが忘れられず集中しようにもできずに困っていた。
「どうしたんですか? 先輩」
と、そこへいつもと違う雰囲気を悟って櫻が歩み寄ってきた。
「櫻ちゃん? ちょっと、ね……」
「さっきから、鎖火さんのことをジッと見ていますけど〜?」
と、ニヤニヤして彼女は弥生に問うと、弥生は慌てて否定しだした。
「ち、ちがうよ〜!」
「鎖火さんのことが、好きなんですね?」
「べ、別に……そうというかなんというか……」
――図星か……
櫻は、弥生が狼のことが好きなんだということはあらかじめ知ってはいる。彼女も、最初は狼を毛嫌いしていたが、工藤から自分を救ってくれたことに、まんざら捨てたものじゃないと感心し、今では狼と弥生を応援する立場に変わっていた。昨日の出来事などが特にそうであった。
「あの、すみません?」
背後から聞こえた声に二人が振り返ると、そこには若い夫婦の参拝客が歩み寄ってきて訪ねてきた。若夫婦の内、妻のほうは可愛い赤ん坊を両手で大事そうに抱きかかえていた。
「うわぁ〜 可愛い赤ちゃんですね?」
櫻は無邪気な顔でこちらを見つめる赤ん坊に頬を緩ませた。
「ええ、半年前に生まれたんです」
「男の子……ですか?」
「ええ! 雄介っていいます」
笑みをこぼして我が子を紹介する若夫婦を見て、櫻と弥生も笑顔になりながらこの若夫婦に案内をした。
この玄那神社には、子宝の神様が祭ってあるのでよく新婚の夫婦がこの神社を訪れることが多い。そして、今回の若夫婦もそんなに珍しいものではなかった。
そして、夫婦を見送る中、弥生はその若夫婦の後姿を自分と、狼の姿と重ね合わせた。
「……」
境内で我が子を抱きながら狼と共に子をあやす。そんな妄想が絶え間なく続いて離れない。
――いいなぁ、赤ちゃんか……
「先輩……」
そんな寂し気な弥生の後姿を見て、櫻はふと決意してように弥生の手を引っ張った。
「先輩!」
「え、どうしたの?」
境内ではなんですから、とりあえず外でお話ししたいんです!」
「え、なにかな……?」
やや、驚くも弥生は櫻と共に境内を出て昨日の森の中へと連れてこられた。
「どうしたの? 櫻ちゃん」
「先輩……鎖火さ
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