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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
終章〜クロスベルの一番長い日 〜 第56話
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ロイドのエニグマが鳴りはじめ、ロイドは通信を始めた。



「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」

「……ロイド君?私だ、マインツのビクセンだ。」

「ああ、町長さん。―――丁度よかった。ガンツさんの様子はどうですか?今から会いに行こうと思っているのですが。」

「そ、それが………その………ガンツのやつがまた居なくなってしまったんだ。」

「!?………詳しい話を聞かせてもらえますか?」

「あの後、夜遅くにガンツが目を覚ましたんだが………意識が朦朧としてるようでそのまま寝かせてしまったんだ。念のため私も部屋に泊まって明日の朝、君達にも話を聞いてもらうつもりだったが………朝、目を覚ましたら………」

「……なるほど。ホテルやカジノに問い合わせは?」

「い、一応したが誰も見た者はいないみたいで………ロイド君……どうしたらいいと思う?」

「………町長の方はホテルに待機してください。ひょっとしたらガンツさんが戻ってくるかもしれません。こちらは聞き込みに出るので彼の事も気に留めておきます。何かあったらまた連絡してください。」

「わ、わかった………よろしく頼む!」

「………ガンツさんが居なくなってしまったの?」

ロイドが通信を終えると会話から事情を察したエリィが真剣な表情で尋ねた。



「ああ………今朝ホテルから抜け出してしまったらしい。自分から消えてしまったのかそれとも………」

「………やはり他の人達の様子も確認する必要がありそうですね。」

「ああ………妙に嫌な予感がしやがるぜ。」

(……恐らく今日で”事態が一気に動くでしょうね”。”何が起こってもいいように”後でジョーカーお兄さん達に連絡しておいたほうがよさそうね。)

エリィの質問に対して答えたロイドの話を聞いたティオとランディがそれぞれ答えている中レンは真剣な表情で今後の方針を考えていた。



「………どうやら思ってた以上に事態の進行が早いかもしれんな。こちらの事は心配するな。とっとと確かめて来るといい。」

「はい!」

「いってらっしゃーい!」

「ウォン!」

こうしてロイド達のクロスベルの一番長い日が始まった―――――



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