6部分:第六章
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第六章
「こう言ったらあれですけれど告白される方でして」
「それは羨ましい話だね」
「それでまあ。何ていいますか」
「君、それ外で言ったら殺されるからね」
小津だからそれはないというのである。彼だからだ。
「気をつけてね」
「殺されますか」
「そうだよ。告白したことはないけれどされたことがあるっていうのは」
つまり女の子に不自由したことはないというのである。それは確かにだ。
あまりにも恵まれている話である。格差社会という如何にも共産主義者か極左の社会主義者もどきが使う言葉でいくとかなり上の方である。
「言わない方がいいからね」
「わかりました」
「くれぐれも注意するようにね」
このことには釘を刺す。そのうえでだ。
小津はだ。亮太にあらためてだ。こう話した。
「手品を使ってやればどうかな」
「手品ですか」
「そう、マジックね」
マジシャンである彼だからこそというのだ。
「それを使ってしたらどうかな」
「そうですね。それいいですね」
「かなりいいと思うよ」
実際にそうだとだ。小津は亮太に勧める。
「それでどうかな」
「わかりました。それじゃあ」
「うん、じゃあね」
こうした話の後でだった。亮太はだ。
香のいるその学校に行きそうしてだ。手品、つまりマジックを使って告白することにした。そうしてまずはこうしたのである。
香のいる職員室の窓のところでだ。腹話術でこう囁いたのだ。
「木更津先生」
「はい?」
香はこの時自分の机に座っていた。そこで何かのファイルを読んでいた。彼女の他に先生がいないことは亮太は窓から覗いて知っていた。それで仕掛けたのだ。いればいたで伝言の手紙を差し出そうと考えていた。これはマジックではないがだ。
「体育館裏で人が待ってますよ」
「人がですか」
「はい、そうです」
こう香に話すのであった。
「そこにいますよ」
「誰がですか?」
「来てくれればわかります」
そこに来ればだ。わかるというのだ。
「御願いできますか?」
「はい、じゃあ」
香はだ。いぶかしみながらも答えた。ここは小学校でだ。いるのは殆んどが女の先生やよく知っている男の先生、それと児童だけだ。だから身の危険は感じなかった。
それでだ。その声にこう答えることができたのだ。
「今から行きますので」
「待ってます」
また腹話術で言う亮太だった。窓の下に身を屈めて隠れてそこから囁いている。
「そこで」
「わかりました。それでは」
「はい、それでは」
こう話してだ。香が席を立ったのを見届けてだ。
亮太は体育館裏に向かった。こっそりとだ。
そこは体育館の壁、それと周りに低い皐月がある場所だった。季節が違うので皐月は咲いていない。緑だけが周りを飾っている
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