第十六話 神戸を後にしてその六
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「二十キロ位はな」
「走ってるんだ」
「それ位はな」
「だからだね」
「もう幾ら食っても食えるな」
「今もだね」
「ラーメン一杯じゃな」
それこそというのだ。
「足りないな」
「僕はそこまでじゃないけれどね」
「美術部だからだね」
「だろうな、身体を動かす部活じゃないからな」
それ故にとだ、龍馬も言う。
「俺程は腹が減らないな」
「そうだよね」
「ただな」
「ただ?」
「御前も食う量自体は増えてるだろ」
「まあね」
そのことを否定しないでだ、優花も答えた。
「そのことはね」
「そうだよな、やっぱり」
「これまでの倍は食べてるかな」
「それでも体重は増えてないんだな」
「背はむしろね」
「小さくなってるか」
「何かね」
そうした状況だとだ、優花は龍馬に話した。
「そうなってきているけれど」
「やっぱりあれだな」
ラーメンの他に飲茶もある、蒸し餃子や焼売がある。それに炒飯もだ。龍馬はその海老蒸し餃子を食べつつ優花に言った。
「身体が変わってきてるだろ」
「それにエネルギーを使ってるから」
「食う量も必要なんだよ」
「そうなんだね」
「身体が変わるってな」
男から女、それがだ。
「やっぱち違うからな」
「普通の運動とは」
「身体の何もかもが変わるだろ」
「うん」
優花は炒飯を食べながら龍馬に答えた。
「骨格も内蔵もね」
「心臓とか肝臓は変わらなくてもな」
胃腸もだ、そうした場所は変わらないが。
「あれだよな、やっぱり」
「うん、子宮がね」
「それが身体の中に出来ていくんだな」
「多分ね」
自分のお腹の下の方を見ながらだ、優花は言うのだった。
「もう僕のお腹には」
「そうか」
「出来ようとしているよ」
「じゃあその分だけな」
「僕は食べているんだね」
「むしろ食べないとな」
それこそというのだ。
「身体がもたないんだろうな」
「変わる為に必要なエネルギーを摂っているんだね、僕は」
「無意識のうちにもな」
「そうなんだね」
「ああ、だからな」
「僕も食べてるんだね」
「身体が変わる為には栄養も必要なんだな」
龍馬は優花を見つつその言葉に感慨を込めた。
「やっぱりな」
「そういうことなんだね」
「何から何まで変わってるんだな」
「身体がね」
「心は御前のままでもな」
「いや、何か心もね」
優花が優花になっているそれもというのだ。
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