第三百四十三話
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第三百四十三話 他の娘と比べても
美樹は学校でも塾でも自分と他の娘達を見比べたり横に何気なく立ってみたりして背をチェックした。そしてだった。
家に帰ってだ、ビルガーとファルケンに曇った顔で言ったのだった。
「やっぱり私はね」
「背が高いですか」
「他の方と比べても」
「女の子で一番かしら、それにね」
「男の方と比べても」
「高いというのですね」
「そうなの」
実際にとだ、美樹は二羽に眉を曇らせたうえで答えた。
「これがね、しかも五年生になってからどんどん伸びてる気がするわ」
「成長期だからですね」
「そうなってきているのですね」
「元々背が高かったのよ」
美樹の場合はだ。
「幼稚園の時からね」
「他の方と比べてもですね」
「そうだったのですね」
「それが最近特になのよ」
背が伸びてきたというのだ。
「このままどんどん伸びるのかしら」
「流石にそうはいかないと思いますが」
「何処までも伸びるというのは」
「途中で止まると思います」
「ご主人様が大人になられるまで」
「私もそう思うけれど」
しかしと言う美樹だった。
「何か不安になるわ」
「このままさらに背が伸びられて」
「誰よりも高くなってしまうのかとですね」
「どの男の方よりも」
「そう考えておられますか」
「大き過ぎても」
それはというのだ。
「何か嫌なのよ」
「女の子としては」
「そうしたことは」
「むしろ小柄な方が可愛くない?」
美樹は首を傾げさせつつ二羽にこんなことも言った。
「むしろね」
「そうでしょうか」
「私達はそこまでは思いませんが」
「ですがご主人様もお悩みですか」
「そうなのですね」
「これ以上高くなって欲しくないわ」
切実な顔での言葉だった。
「高くなっても一六五、それ以上はね」
「なりたくない」
「高くなって欲しくないですか」
「止まって欲しいわね」
かなり切実に言う美樹だった、学校と塾で確かめてみてあらためて思ったことだった。
第三百四十三話 完
2016・5・23
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