暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第9話 とあるスパイを自称する陸曹の日常
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の上で足を回す。遠心力に攫われ片方の足からジャージが抜け、残った方の足の足首にジャージが引っかかったその瞬間――足を勢いよく上へと振り上げる。

「んああぁぁっ!!」

 それは見事なL字開脚だった。
 地面に寄りそう足と天を衝く足の両方ともが寸分の互いなく90度。
 さらには背筋、腹筋、そして大腿筋に支えられた天を衝く足は微動だにせずいっそ神々しさを纏いながら屹立していた。
 今、ここに、一つの鍛え上げられた肉体によって完成されたL字開脚の芸術。
 しかし、ラディの朝の日課(きがえ)はまだ終わっていない。

 そう、まだ肌着(パンツ)が残っている……!!

 完成された芸術、そのさらに上を行き新たな境地に到達せんとラディがそのゴムに手を掛ける。

 刹那――

「朝っぱらからなにやっとんじゃおどれはぁぁあああああっっ!!!」

 ―シュバルツェ・ヴィルクング―

 怒鳴り声とともに先程までプライベートを保障していたドアがくの字に曲がった状態で窓を突き破り外へと飛んでいく。
 咄嗟に足を降ろし地面に仰向けに寝そべり事なきを得たラディは、特に驚く様子もなく身体を起こし、部屋の入口で顔を真っ赤にして息を荒げる女性に手を挙げた。

「おはようございます、はやて部隊長。毎朝毎朝目覚ましご苦労様です♪」
「な・に・が!! ご苦労様や!! 毎朝毎朝変な声上げながらストリップしてぇ!! お蔭でうちの爽やかな朝が台無しや!!」

 ラディからの爽やかな挨拶に、ラディの部屋の扉を吹き飛ばした女性――はやては怒りと羞恥で顔を真っ赤にしながら怒鳴り返す。
 だがそれにラディはいかにもわざとらしい仕草で顎に指を当て、不思議そうに小首を傾げる。

「おやぁ? それはおかしいですねぇ。オレちゃんと扉もカーテンも閉めた状態で服を脱いでたはずなんですけどぉ。一体全体どうやってはやて部隊長はオレの部屋を見てたんですかぁ〜?」
「とぼけんのもいい加減にしいぃや自分!!」

 ラディのとぼけた表情にさらに怒りで顔が赤くなったはやては部屋の隅、ラディが朝起きてすぐに弄っていたデスクの上のランプを指さした。

「自分起きてまず最初に、あのランプに仕込んどる監視カメラの角度調節しとったよなぁ!!」

 はやてがラディの部屋の状況を知ることができたのは、これが原因なのである。
 いくら自分からスパイなどと言い出すような頭がどうかしてるとして思えないスパイでも、スパイはスパイ。放っておくことはできない。
 しかし見張りを付けようにも、出張任務で一瞬にして部隊に溶け込んだあのコミュ力を見ると、下手をすると懐柔されてしまう恐れがある。
 そこであらかじめ、ラディがこの部屋に来る前に、備え付けのデスクに合わせたいかにもデスクとセットで
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