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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第9話 とあるスパイを自称する陸曹の日常
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セラフィム)の心理を読みそれを利用する能力。
 それらを培うための訓練――それがラディが毎日行っている訓練の仕上げである。
 
 他人から見れば理解に苦しむ訓練。不必要な訓練。
 だがラディにはそうは思っていないらしい。冷めた瞳の奥底に昏く静かな闘志を宿し、いつでも動けるように腰を落とし臨戦態勢を取る。

「それじゃ、さっさと終わらせますか」
?できるものならどうぞ?

 挑戦的なラディの言葉にセラフィムもまた挑戦的に返し、そして――訓練が始まった。


 雲が流れ、星に囲まれ怪しく輝いていた月が雲に隠れる。
 影が色濃く落ちる廃棄都市区画を再現する訓練シュミレーター上、崩れたビルの合間を縫うように影が動き、標的を音も無く狩りとっていった。
 そして、再び月が夜空に戻った時にはもう、訓練は終了していた。

 終了条件、53機の標的を10分以内に見つけ出し、これを撃墜する。

 セラフィムが設定し、隠した条件を敵の動きやセラフィム自身の反応から看破し、そして数分で完遂した。 

 それだけでも十分に驚嘆に値することだ。 
 だが、それ以上に驚嘆すること――否、もはや異常なことは――



 ラディがそれを“デバイスを持たずに”行ったことだ。


 元地上本部首都防衛部所属、現機動六課ライトニング分隊副隊長、ラディオン・メイフィルス陸曹。
 彼は一体何者なのか。
 本当にただの、スパイなのか。

 少なくとも彼は、ただの陸曹ではない。
 
 それだけは、確かなことだった。



to be continued

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