暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
14.『ありがとう』
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えない。ウソだと思いたくてLINEでメッセージを飛ばす。既読はつかない。

「マジかよ……マジかよッ……」

 さっき感じた胸への衝撃はどうやら間違いではなかったようだ。ものすごく気色悪い風が胸を吹き抜けていく。風穴が開いたみたいに……生ぬるい風が通り抜けているかのように、ものすごく気持ち悪い。不安になって身体から力が抜ける。すごくイヤな感覚だ。

「鈴谷……鈴谷ッ……!!」

 僕はやっと理解した。これが、残酷な現実がたたきつけられた瞬間の気持ちだったんだ。あのみんなが爺様の死をたたきつけられた時の気持ちが、これだったんだ……。

 鈴谷にはもう会えない……それを認めたくなくて、僕は何度も鈴谷にLINEでメッセを送った。

『返事しろ! 返事しろ鈴谷……ッ!!』

 だけど僕が送ったメッセに既読表示がつくことはなかった。

 もう一度、涙で滲んだパソコンの画面を見る。パソコンの画面には、D◯Mの会員規約が無慈悲に光り輝いていた。他の部分は涙のせいで滲んで読めないくせに、読みたくない部分だけは、くっきりと鮮明に表示されていた。



D◯M会員規約

第十五条 当社による解除

一.当社は、会員が次の各号のいずれかに該当した場合、通知等を行わずに会員登録の解除及び退会処理を行うことが出来るものとします。

(一)登録情報に虚偽が含まれている場合
(二)対価等の支払いの遅延が発生している場合
(三)会員の信用状態が悪化し、対価等の支払いの継続が困難であると認められた場合
(四)過去に当社からの退会処分を受けていたことが判明した場合
(五)会員の相続人等から会員が死亡した旨の連絡があった場合、あるいは当社が会員の死亡の事実を確認できた場合
(六)反社会的勢力等(暴……

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