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忘れ形見の孫娘たち
14.『ありがとう』
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シャワッシャしたる!!』
『ちょ……提督マジ痛い!! つーか久々もクソも鈴谷は提督にこれされるの初めてなんですけど?!』
『ひでーぞー鈴谷! この摩耶様がキャンプ場で提督の分までワッシャワッシャやってやったじゃねーかッ!』
『ゲッ……マジで?! あれもカウントに入ってるの麻耶さん?!』
『ったりめーよ! なんせ摩耶は俺の秘書艦だからな!! だはははははは!!』

 爺様だ……本物の爺様だ……

『提督。鈴谷もいいけど……』
『おう!』

 鈴谷の一言で、爺様がこっちを向いた。そして僕のそばまで歩み寄ってくる。懐かしい。爺様の匂いがする。爺様特有のタバコの匂いだ。

『爺様……久しぶり』
『おう! 久しぶりだ!!』
『スイカありがとう……うまかった……』
『おう!』
『パソコンは……母ちゃんにやった。……中はほとんど見てないから、安心して』
『おう! でも俺の遺言はちゃんと見てくれたんだな』
『?』
『パソコン。お前、見たんだろ?』

 思い出した。『みんなのことを頼んだぞ』ってやつ。そういえばあった!

『あれが遺言?!』
『おーよ』
『たったあれだけ?』
『他に心残りなんかねぇからな』

 呆れた……やっぱ爺様だ。この下らないところ……でもバシバシ先読みを当てて、そのエネルギッシュさでみんなを引っ張るところ……爺様は、ここでも変わらなかったんだ。

『やっぱお前に託して正解だったな。うまくやってくれたようで、爺様はうれしいッ!』
『そうだぞー和之! アタシらみんな、お前と鈴谷に感謝してるんだからな?』

 摩耶さんが自分の席から立ち上がらず、僕らに向かってそう声をかけてくれた。

『爺様……やっぱ、“みんな”って、この子たちのこと?』
『おう。俺が死んだことを伝えられなかったら、こいつらが不憫でよぉ』
『そっか……楽しくやってたみたいで、なによりだ爺様』
『おーよ。こいつらマジでおもしれー。俺の自慢の孫娘たちだよ』
『そっか……うん。そっか』
『俺の方こそ礼が言いたい。俺の孫娘たちの世話、ありがとなー!!』

 爺様はそう言うと、鈴谷の時と同じく僕の頭をワッシャワッシャしだした。懐かしい。小さいころにされたワッシャワッシャと全然変わらない。

『ぇえ?! かずゆきは痛くないの?!』
『小さいころから何度も食らってるからさ』
『お前とは鍛え方が違うぜ和之は』

 痛いけど……本当は痛いけど……でも懐かしいよ爺様。そんな爺様の元気なワッシャワッシャを食らいながら、爺様にとってここの生活がいかに大切なものだったのかを知ることが出来た。爺様にとって、鈴谷たちがどれだけ大切な存在だったのかを、知ることが出来た。

 よかった。知りたいことは知ることが出来た。爺様がい
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