14.『ありがとう』
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達に気付いた二人はフッと笑い、妙高さんは丁寧な会釈を、那智さんは軽く右手を上げて挨拶をしてくれた。妖精さんたちは立ち上がり、僕達にビシッと敬礼をしていた。
『それでは失礼します』
ひときわ大きなドアが開き、中から大天使オオヨドエルがそう言いながら出てきた。彼女はドアをバタンと閉じ、僕らの方を見てニコッと微笑んでくれた。
『ひこざえもん提督なら中にいますよ』
すれ違いざまにそう言って足早に去っていった。
『大淀さん!! ありがとう!!』
去っていく大淀さんの背中に、精一杯の感謝を告げる。立ち止まった彼女は振り返ってもう一度ニコッと微笑んで会釈した後、またスタスタと歩いて行った。
『着いたよかずゆき』
大淀さんが出てきたドアの前に立つ。このドアだけは……今まで見てきたドアに比べて作りが頑丈で豪華だ。立て札が立ててあり、『執務室』と書いてある。
僕らの背後を五人の子たちがすれ違った。『次の出撃、北上さんと別々だなんて……』『そんな日もあるよ大井っちー』『いい加減あきらめるクマ』という会話が聞こえてくる。
『ここが執務室』
『ここに……爺様がいるのか?』
『そうみたいだね。鈴谷も会うのは久々だから緊張するなー』
ドアをノックしようと手の甲をドアに近づける。その時だった。
『だってよおー! アイツムカつくんだぜー? しらねーよはろーわーるどなんてよー!!』
『わーかったからぁ! 孫自慢はもう聞き飽きたよ!!』
『そう言うなよぉ摩耶ぁああん』
『気持ちわりぃよ変な声だすなッ』
爺様の声だ……意を決し、震える手でドアをノックする。
『おうッ!』
『ていとくー! 鈴谷だよ!』
『おうッ!』
『和之もいるよ!!』
『マジか! 和之もか!! 入れ入れ!!』
イマイチ力が入りにくい手でドアノブを握り、ドアを開いた。開いた途端、眩しい明かりと共に部屋の中から盛大な『ぉおおッ!!』声が聞こえてきた。久々に聞く懐かしい声だ。小さい頃から聞き覚えのある……でももう二度と聞けないと思っていた声だ。
『鈴谷ー!!』
『もー提督!! 出会った次の日にいなくなっちゃうから鈴谷困っちゃったよ!』
『すまんすまん! やっぱ寿命っつーのには勝てなかったわマジで!!』
爺様だ……真っ白い上下のスーツに身を包んで、同じく白い帽子を被ってはいるけれど……あのプレッシャー……むかつく笑顔……あのほとばしるエネルギー……爺様は麻耶さんと一緒に一番奥の席に座っていて、僕達の姿を見るなり立ち上がって満面の笑顔で思いっきり両手を広げてくれた。そのまま僕達の方に駆け寄った爺様は、鈴谷の首根っこを捕まえて、鈴谷の頭をワッシャワッシャしはじめる。
『どれ! 久々に俺が直々にワッ
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